◆混雑によるストレスを無くせ!――複合再開発の新常識は「余白の価値化」

近年の大型再開発において重視されているのは、単なる来館者数のみではなく、
・街との回遊性・親和性
・地域ブランド向上・地域環境への配慮
・オフィスとしての価値・機能性
・滞在の快適さ
・多様な場面・時間帯への対応
・ダイバーシティ&インクルージョン
・災害への備え
などといった、多角的な視点による「街区・都市機能全体の向上」である。
今回紹介した2つの大型複合施設は、商業施設単体として見れば、必ずしも大きな賑わいを見せているわけではないかも知れない。しかし、再開発の最大の目的は「商業施設単独で人を集めること」ではなく、「再開発街区全体」、さらには「地域全体・都市機能全体の価値の最大化」にある。商業ゾーンは、いわば魅力を高めるための「舞台装置の1つ」なのだ。

・混雑しすぎない
・快適に移動できる
・座って休憩する場所がある
・トイレに待たずに入れる
など、滞在する際に「混雑によるストレスが少ない」こと自体が、都市空間における大きな価値になりつつある。
震災やコロナ禍などさまざまな経験を経て、都市には「効率」だけでなく、「余白」や「安全性」が求められるようになった。そう考えれば、「空いている=失敗」だと単純に結論づけるのは早計だろう。
グラングリーン大阪を含む「うめきた2期」再開発は2028年春、そして渋谷サクラステージに直結する渋谷駅周辺の再開発は2034年度に全面完成する予定だ。数年後、それぞれの街が成熟したとき、この両施設はどういった姿を見せ、そして人々はこの“余白のある都市空間”をどのように評価するのだろうか。<取材・文/若杉優貴(都市商業研究所)>
【若杉優貴(都市商業研究所)】
『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

