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「景気はちっとも良くないぞ!」政府の〈景気回復宣言〉に激怒した中小企業社長もいたが…「景気変動」の正しい理解の重要性【経済評論家が解説】

「景気はちっとも良くないぞ!」政府の〈景気回復宣言〉に激怒した中小企業社長もいたが…「景気変動」の正しい理解の重要性【経済評論家が解説】

世間話にも出てくる「景気」というワードですが、多くの人たちが持つ「景気」の認識と、実際の定義には、少々乖離があるかもしれません。経済評論家の塚崎公義氏が、「景気」の正確な定義と、景気変動の理由について平易に解説します。

景気は勝手に止まらない

経済学の教科書を開くと、景気が変動する要因として在庫循環等が記されていますが、後述するように、それらは過去のもので、現在では重要ではありません。景気は、自分では方向を変えないのです。

景気が回復している時には、「売れるから作る。そのために雇う」「給料もらった元失業者が買うから、さらに売れる」ということで、回復が続きます。企業は増産のための設備投資をするので、鉄やセメントや設備機械などが売れるようになります。銀行も、借り手企業が黒字であれば気楽に融資してくれるでしょう。サラリーマンも、リストラされる恐怖が和らぎ、財布の紐を緩めるかもしれません。こうして景気はどんどん良くなっていきます。

反対に、景気が悪化しつつある時には「売れないから作らない。だから雇わない」「失業した人は買わなくなるから、さらに売れなくなる」という具合で景気はどんどん悪くなるのです。

景気の方向を変えるのは「外部要因」と「財政金融政策」

景気が自分で方向を変えることはありませんが、実際には景気の方向は頻繁に変わります。その要因として重要なのは、外部要因と財政金融政策です。

外部要因としては、米国で発生したリーマン・ショックによって日本の景気が悪化したケースが代表的でしょう。米国の景気が悪化すると日本からの輸出が減り、日本企業の生産が減り、日本の景気も悪化します。かつては急激な円高によって輸出が減少して日本の景気が悪化したことも、稀ではありませんでした。反対に、米国の景気が回復したり円安ドル高になったりして輸出が増え、日本の景気が回復する、ということも珍しくありません。

バブルの崩壊で景気が悪化することもあります。日本のバブル期には、皆が浮かれて贅沢をしていたため、バブルが崩壊した時には反動で消費が落ち込みました。加えて、高級車などをすでに買ってある消費者が多く、耐久消費財の売れ行きはしばらく落ち込んだままでした。企業も多額の借金をして大きな工場を建てて労働者を大勢雇っていたので、バブル崩壊後しばらくは設備投資をする企業がなかったのです。

バブル崩壊の場合には、金融危機が発生して景気を大きく下押しする可能性もあります。借金で土地を買った人々が相次いで倒産すると、銀行は貸出が回収できずに赤字になります。銀行には「自己資本比率規制」が課されていて、自己資本の12.5倍までしか貸出をしてはいけないので、銀行の赤字が続いて自己資本が減ると、貸せる金額が減ってきます。すると、貸したくても貸せない銀行が増えてきて、「貸し渋り」を受けた借り手が材料仕入れ資金が借りられずに倒産する、といったことが起こり得るのです。実際、日本のバブル崩壊時も米国のリーマン・ショックの時も、銀行の貸し渋りが景気悪化を深刻化させました。

外部からの力が働かなくても、景気は変動します。政府が財政政策で、日銀が金融政策で、景気の方向を変えようとする場合があるからです。景気が悪化している時に流れを好転させようという場合のみならず、景気が良すぎてインフレが心配な時には政府日銀が「景気をわざと悪くしてインフレを抑えよう」とする場合もあります。財政政策と金融政策については、別の機会に詳述することにします。

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