群言堂の継承。でも「私は主役ではなくサポートタイプ」
由紀子さんが群言堂に入社したのは21歳のとき。会社に入ってからは、母のことを「お母さん」ではなく、周囲と同じように「登美さん」と呼ぶようになりました。
「会社に入ってからは、母とはいえ社長なので。もうお母さんって呼んでいた時より、みんなと同じように『登美さん』って呼んでいる時間の方が長いんです。だから、あまり“お母さん”という感覚が強くないんですよね(笑)」
そして、社長として奮闘する母の姿を間近で見ながら働くうちに、自分の役割についても自然と考えるようになったといいます。
「母は”主役”の人。一方で私は主役というより、サポートで生きるタイプ。母みたいに、何かをぐいぐい引っ張っていくより、その横で支える方が、性格的にも合っている気がします」
母のように前に立って引っ張る人がいれば、その人を支える役割もある。会社はみんなが主役でも成り立たないし、支える人だけでも難しい。要はバランスでしうよね、と微笑みます。
老いても“主人公”でいる両親を見て思うこと
2022年、由紀子さんは三女の夫である忠さんと群言堂を引き継ぎ、会社の経営を担う立場になりました。長く関わってきた仕事ではありますが、継承という節目にはやはり思うところもあったと言います。
40代後半になった今、由紀子さん自身も、両親の年齢を感じる場面が少しずつ増えてきたそうです。
「もちろん、人間ですから老いてはいきます。でも、まだまだ彼らにとっては“自分が主人公”の時間が続いている感じがして。会社の代表としての役割は終わっても、父は今、代官芋の商品化に夢中ですし、母も刺し子プロジェクトやInstagramなど新しい取り組みを始めています。
そんな両親の姿を見るたび、自分が主人公でいる時間をちゃんと持っている限りは、きっと元気に動き続けるんじゃないかな、と思っています」
そして最後に、こう続けました。
「親が楽しそうって、本当にありがたいですよね」

