制度に振り回されないことの大切さ
金融庁「NISA口座の利用状況調査」によれば、全国の口座数は2025年12月末時点(速報値)で2,826万口座。新NISAを始める若い世代も増えていますが、その背景には将来への不安があります。また、投資が身近になり、「早く始めるほどいい」という考えが広まっていることも挙げられます。
もちろん、20代から長期で積立投資を始めること自体は、資産形成の面で大きなメリットがあります。時間を味方につけられるのは、若い世代ならではの強みです。
一方で、「みんなやっているから」「他の人はもっと投資を頑張っているから」は、投資でも人生でも危うい理由です。投資枠の1,800万円という数字を埋めるゲームに夢中になり、「NISA貧乏」に陥り、20代という戻らない時間を削るのは、本当に賢明な選択でしょうか。
20代で本当に投資すべきは「自分自身」です。判断力と稼ぐ力、そして人とのつながり。これらは、どんな相場でも目減りせず、むしろ複利のように増えていく資本です。
また、投資=NISAと考えがちですが、iDeCo(個人型確定拠出年金)や会社の制度(企業型DC)という選択肢もあります。いずれにしても、制度は道具であって、ゴールではありません。何のために、いくらまでなら無理なく続けられるかを決めるのが先決です。
清さんが2億円を築けたのは、投資の腕ではなく、若い頃に養った「考える力」「稼ぐ力」「人とのつながり」が、二度の暴落で踏みとどまる支えになったからでした。そうした経験の価値こそ、孫に伝えたかった大切な財産だったのです。
新NISAの普及によって、若い世代でも投資は当たり前の時代になりました。しかし、本当に大切なのは、制度に振り回されることではなく、自分の人生に合った距離感でお金と向き合うことなのかもしれません。
ファイナンシャルプランナー
青山創星
