埼玉県在住の会社員・A子さん(20代)も、そんな天国行きのチケットを手にしたことがあるうちのひとりだ。さぞ夢見心地のひとときを過ごせたのだろうと思いきや、地獄を味わってしまったのだという。

◆試写会どころか、映画館自体が怖くなってしまった
「二度とこんな思いはごめんだと思って、試写会は二度と応募していないどころか、映画はもう空いている時間帯にしか行けなくなりました。しかもギリギリの時間に座席を確認し、ガラガラであるのが必須条件です。どんな人が隣に来るか、その場に行くまでわからないのが恐ろしいので……」試写会当日は、残念ながら雨。しかも季節外れの暑さで、蒸し蒸しとした嫌な天気だったそうだ。
「リピーターとしてずっと楽しみにしていた試写会です。事前に買っていた新しいお洋服で、とびきりのおしゃれをして会場に向かいました」
前日は興奮であまり眠れなかったA子さんは、会場時刻よりもかなりのゆとりを持って到着。お手洗いで身だしなみを整え、用も足し、万全の状態でいち早く座席に着いた。
「先着順ではなく、座席指定だったんですよね。私の席は、3つある島のうち上手側の島で、もっとも中央寄りの座席のひとつ隣でした。最前ではないものの、比較的見やすい位置で、やったあと無邪気によろこんでいました」
◆隣席の客から漂う悪臭に思わず…
スタートが一刻と迫るたび、胸を高鳴らせるA子さん。だが、通路側の隣の人はなかなか現れない。このまま来ないのなら1つでも席を詰めてしまいたいのに……などと考えていたらしい。「始まる直前、本当に1分前とかですかね。息を切らして会場に駆け込んできた男性がいました。どこに座るんだろうと思っていたら、私の隣の席の人だったんです」
同好の士として「ギリギリでも間に合ってよかった!」と、A子さんが抱いたエンパシー。しかし、間髪を容れずにそんなあたたかな気持ちは粉々に砕けてしまう。
「その日は降ったり止んだりの雨模様だったからか、傘を忘れたんでしょうね。服だけでなく、リュックもろともビショビショでした。しかもその人は、胸元くらいまである長髪。雨のせいだけとはいえないくらいボサボサの下ろしっぱなしで……」
男性は、髪型のせいか服装のせいか、あるいは両方だろうか、中学生ともアラフォーとも見える、年齢不詳の風貌。要するに、身だしなみへの配慮が感じられないタイプだった。
「その人が荷物を床に置いて座った瞬間、モワァっと悪臭が漂ってきました。いわゆる生乾き臭ですね。ただでさえ雑菌を繁殖させたままの服が雨と汗で濡れたことで、強烈なニオイを発するようになったのだと思います。ついゲホゲホとむせてしまい、慌ててハンカチで口元を覆いました。感極まって泣いてしまうと思い、事前に膝にハンカチを置いていたのです」
だが、その動作が男性の癇に障ってしまったようで……。

