北海道・小樽市の総務部広報広聴課が、市内に暮らすベトナム人住民への情報発信と、生活のアドバイスを専任で担う地域おこし協力隊員を1名募集します。
国籍は問いません。日本人でも、ベトナム出身でも、それ以外のバックグラウンドをお持ちでも、ベトナム語が堪能で、日本語で一定のコミュニケーションができる方であれば、どなたでもご応募いただけます。
あまり目にしない種類の募集だと思います。だからこそ、この仕事の背景にある考え方や、小樽というまちのことを、少し丁寧にお伝えしたいと思っています。ご興味・ご関心のある方は、ぜひ最後までお読みください。
1. まず「小樽」というまちについて
小樽といえば、多くの人はあの風景を思い浮かべるでしょう。石造りの倉庫群が連なる運河沿いの景色、明治から大正にかけて「北のウォール街」と呼ばれ、北海道経済の中心として栄えたまちの面影が、いまも日常の風景の中に自然と溶け込んでいます。日本銀行の支店がかつてここに置かれていたように、その長い歴史の中でつねに「外の世界とつながる場所」でした。
その小樽市は北海道の西部に位置し、日本海に面した港町です。札幌から約40kmに位置し、電車では最速で約35分、新千歳空港からも約70分という距離にありながら、人口は約10万人。コンパクトながら、歩いて回れるエリアに歴史と文化が凝縮されている魅力の詰まったまちです。
年間800万人が訪れる観光地としての顔は広く知られていますが、このまちにはもう一つの顔があります。
現在、小樽市内には約1,400人の外国人が暮らしています。人口のおよそ1.3%にあたるこの数字を、国籍別に見ると、ベトナム、中国、インドネシアと続きます。英語圏ではない国々の出身者が多くを占めていて、その中で最もボリュームが大きいのがベトナムの方々で、約200人が小樽に生活の拠点を持っています。
その多くは、水産加工や食品製造など北海道の産業を支える現場で、日々仕事をしている人たちで、このまちの産業と生活を静かに支えています。
「外の世界とつながるまち」という小樽のDNAは、形を変えながら今も生きています。世界中から人を引き寄せてきた歴史を持つこのまちだからこそ、地域に暮らす全ての人が心地よく過ごせる場所にしたい—今回の募集は、そうしたまちの基本的な価値観から生まれています。
2. 届けるべき人に、届く言葉で
小樽市の広報広聴課は、市民への情報発信を担う部署です。市の広報誌や公式SNS、市民からの問い合わせ対応など、行政と市民の間をつなぐ仕事を日々担っています。
その課が特に近年議論してきたテーマがあります。市内に暮らす外国人住民の方々へ情報をどう届けるか、ということです。
小樽市の外国人住民には、まだまだ十分に情報が届いていない場合も少なくありません。その中で最もボリュームが大きいのがベトナム出身の方々なのです。
「届けるべき情報が、届いてほしい人に届いていないかもしれない」という問いに向き合いながら、広報広聴課は今回の取り組みを決めました。
担当課の皆さんは、こう話しています。
「小樽には、地域の産業を日々支えてくださっている外国人の方々がたくさんいらっしゃいます。ゴミの分け方一つにしても、市のイベント情報一つにしても、それが届いてほしい人の言葉で届けることは、行政としてやるべきことだと思っています。でもまだ新しいチャレンジではあるので、今の時代にどう形にするべきかを今回採用する協力隊の方と一緒に考えていきたいと思っています。」
「例えばどのSNSを使うかや、どんな発信スタイルが伝わるかも、実際に試しながら見つけていく部分が多いと思います。ある程度のリテラシーを持ちながらも、正解のない中でやってみる、という感覚で一緒に取り組んでもらえる方を求めています。」
ベトナム語に特化した情報発信体制を行政の現場に作ること自体、日本の地方行政ではまだ珍しい取り組みです。北海道の国際的なゲートウェイとして長い歴史を持つ小樽が、その歴史に根ざした新しい多様性のかたちを、協力隊の方とともに作り上げようとしています。


