
“家庭菜園”といえば食べるためのもの、と思っていませんか? 野菜は収穫して食べるのはもちろん、あえて収穫せずに“野菜の花”を咲かせ、園芸植物のようにその美しさを愛でるのも楽しいものです。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、夏の菜園で圧倒的な存在感を放つアーティチョークを中心に、“アザミ”や宿根草の組み合わせアイデア、そして庭を美しく保つ毎日のお手入れのコツをご紹介します。
目で楽しむ家庭菜園

“家庭菜園”と聞くと、多くの人は食べることをイメージするでしょう。私も基本的にはそうなのですが、ここ数年は、“野菜の花”の美しさに惹かれることが多くなりました。
季節に応じてさまざまな野菜苗を植えたり、種まきをしたり、といった作業は、すでに身に沁みついたルーティンになりつつあります。こうして植えた苗の一部を収穫せずにそのままにしておき、花を咲かせたり、時に種子を採ったりするには、それなりに忍耐が必要です。収穫したい気持ちを抑えてその株の最後まで、できればシードヘッドをつけて次のシーズンに向けた種子を収穫するまで、庭の一角やプランターで見守らなくてはいけません。ですが、野菜の花も園芸植物に劣らず魅力的で、その価値は十分にあります。

夏の菜園におすすめ
パープル/バイオレットの花が咲くアーティチョーク

夏の家庭菜園を彩る花の美しい野菜としては代表的な存在であるアーティチョーク。大型でシンボリックな存在感を放つ、地中海原産の多年草です。シルバーグリーンの葉を持つ巨大なアザミのような姿で、高さは1.5mにも達するため、十分に成長させるには広いスペースが必要です。高温多湿には弱く、日当たりと水はけのよい環境でよく育ちます。

アーティチョークはつぼみが食用でき、柔らかく風味豊かな芯と、肉厚なガクの付け根が利用されます。南ヨーロッパや地中海地域では、蒸したり茹でた上で、よくディップソースをつけて食べられる野菜で、調理済みのアーティチョークの缶詰も市販されています。小さく切って、鶏肉やツナのサラダに混ぜても美味しくいただけます。

ドイツでは、夏の菜園で度々この魅力的な姿を見かけることはありましたが、実際にフレッシュなつぼみを食用にすることは少なく、アーティチョークを食べたいときはこのような調理済みの状態を購入していました。

成長していく様子を見るのはとても興味深いですし、最後に咲く紫の花は観賞価値が高く、かなり長く楽しめます。花が散った後のシードヘッドも見た目が美しく、翌年まで残ることもあります。中には、翌年に新しい芽が土から芽吹くまで種子が残っていたものもありました。
アーティチョークについては、私の一番の興味は食べることよりもその成長を見ることにあるかもしれません。

アーティチョークと組み合わせるおすすめ植物

ダイナミックで造形的な美しさを持つアーティチョークは、花壇やキッチンガーデンで他の植物と併せても魅力的な光景を演出してくれます。
互いに支えあうマメ類

アーティチョークに合わせる植物としては、マメ類が面白いコラボになります。マメ類は土壌に窒素を固定するので、養分を多く必要とするアーティチョークにとっては天然の肥料の役割を担います。また、アーティチョークは、つる性のエンドウやインゲンを支えるナチュラルな支柱のような役割も果たします。
繊細な葉のアスパラガス

アスパラガスとアーティチョークもよい組み合わせ。どちらも何年も楽しめる多年生の野菜で、好む土壌や水はけの環境も似ています。細く長いアスパラガスの芽は、アーティチョークの葉の重厚感を和らげてくれます。
地中海風ガーデンにピッタリのサルビア&ラベンダー

サルビア(セージ)とラベンダーは、地中海地域の植物で、同じような日照や水分の条件を必要とします。香りのよい花は花粉媒介者をマグネットのように引き寄せ、またアーティチョークの銀葉の間によく映えます。特にサルビアは品種によって色のバリエーションが非常に豊富で、簡単に組み合わせることができます。
