店主の“好き”が詰まったアンティークの世界


そんな店主は大のアンティーク好き。今も音色を奏でる蓄音機。お花の作家に依頼し、たんぽぽをあしらった精密天秤。海外から取り寄せたというコーヒー豆のテイスター。そして戦前に使われていたレジはいまも現役。どこを見渡してもアンティークがずらりと並ぶ店内はタイムスリップをしたかのよう。

この美しさは唯一無二。作り手のアイデンティティを詰め込んだプチガトー

空間だけでなく、スイーツの完成度も見逃せない。前述した店主・王師都さんは、イノベーティブイタリアンレストラン「FARO」出身ということも忘れてはいけない。
王師都さん
「FAROではずっとビーガンデザートをやっていました。動物性の食材を使わず、レシピを開発することはチャレンジでした。シェフパティシエの加藤さんからはたくさんの学びがありましたが、“自然や季節の移ろいを感じながら自然の美しさを表現する”ことに一番影響を受けました」

晴れの日の太陽をイメージしたお店のスペシャリテ「向陽」は、台湾産のクチナシと野花の蒸留水のムースに、トロピカルフルーツのジュレ、金木犀のカスタードを合わせたお花の香りが余韻に残る一品。
透き通る夜空をイメージした「綺羅星(きらぼし)」は、“月桃”というハーブを使ったムース、レモングラスのガナッシュ、パイナップルのキャラメリゼ、マンゴーのジュレを合わせた南国を感じさせる構成に。


そして春に咲き誇る花畑をイメージしたという「万華(ばんか)」は、アーモンドと薔薇のムース、チェリーとハイビスカスのジュレ、カモミールのクリームを合わせた香水のような上品な香りが広がる仕立てに。
「自分のルーツである台湾の植物や香りを、日本の四季と重ね合わせて表現したい」と話す王師都さん。自然や季節の移ろいを表現したケーキは、同店ならでは。