◆涙ながらに無我夢中でかき込んだ
まずは、カプレーゼから箸をつけた。食欲がない時は油もチーズも一切受け付けなかったが、本当は大好きな組み合わせだ。トマトと一緒に口へ放り込むと、涙がこぼれた。「うま……。うまい……。うますぎる」
1カ月ぶりの油、旨み、そして確かな食感……。あとはもう、むさぼるように料理を無我夢中でかき込んだ。サイゼリヤは、失われていた食事の「楽しさ」を思い出させてくれた。
それに、「味が落ちた」と噂されているが、15年前に食べた記憶の味とそこまで大きな違いはなかったと思う。もっとも、無我夢中だったので、私の舌がよくわかっていないだけかもしれないが……。
物価高でさまざまなサービスが値上がりし、市民たちの生活は苦しくなる一方だ。しかし、サイゼリヤは質を落とせず、圧倒的な安さを提供し続けている。その真摯な姿勢には感謝すべきだろう。
きっと来月以降、筆者が打つマンジャロの量は増え、いよいよ思うように食べられなくなる日がやってくる。だから、その分、健康なみんなにはサイゼリヤを存分に堪能してほしい。
ヴァルハラで会おう。

<TEXT/千駄木雄大>
―[「チェーン飯」を2000円で爆食い]―
【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある

