チュウゴクアミガサハゴロモに薬剤は必要?
家庭の庭で少数を見つけた場合、まず行うべきなのは薬剤散布ではなく、物理的な除去と産卵枝の処分です。
現時点では、日本でチュウゴクアミガサハゴロモを対象にした登録農薬はありません。むやみに広範囲へ農薬殺虫剤を散布すると、クモ、カマキリ、サシガメ類、鳥など、庭にいる捕食者まで減らしてしまう可能性があります。少数発生であれば、見つけた幼虫や成虫を取り除き、産卵痕のある枝を切除するのが現実的です。
発生が多い場合や、果樹、チャノキ、農作物などで被害が心配な場合は、地域の病害虫防除所や自治体の情報を確認しましょう。
チュウゴクアミガサハゴロモに天敵はいる?
チュウゴクアミガサハゴロモには、海外で卵に寄生する寄生蜂が報告されています。また、庭ではクモ、カマキリ、サシガメ類、鳥などが幼虫や成虫を捕食する可能性があります。
ただし、日本の家庭園芸で「天敵に任せれば発生を抑えられる」と言えるほどのデータは、まだ十分ではありません。
天敵はいる可能性があるものの、防除を任せきりにするのではなく、少数のうちに取り除くこと、産卵痕のある枝を残さないことが大切です。
チュウゴクアミガサハゴロモをバラで見つけた場合はどうする?

バラの鉢植えや庭植えで、白い綿のような幼虫を見つけることがあります。バラの新芽や若い枝は柔らかいため、一時的に幼虫がつくことも考えられます。
1匹、2匹を見つけた程度なら、まずは取り除いて様子を見ます。水で洗い流す、ティッシュで取る、筆で落とすなどで十分です。
その後、株全体を見て、同じような幼虫が複数いないか、細い枝に白い産卵痕がないかを確認します。特に夏から秋、冬剪定の時期は、枝に残る白い毛羽立った跡を見逃さないようにしましょう。
バラで注意したいのは、幼虫1匹の吸汁よりも、成虫が細い枝に産卵し、その卵を翌年に持ち越すことです。産卵痕がある枝は、剪定で切除して処分します。
また、バラに黒い汚れが出た場合は、黒星病なのか、甘露にすす病菌が繁殖したすす病なのかを見分けることも大切です。すす病は、吸汁性害虫が多発して甘露がたまることで起こりやすくなります。
チュウゴクアミガサハゴロモは海外ではどう扱われている?
チュウゴクアミガサハゴロモは、海外では果樹や苗木流通に関わる外来害虫として警戒されています。
韓国では果樹害虫として問題化し、果樹園での被害が報告されています。欧州でも、果樹や観賞樹、苗木流通への影響が懸念され、早期警戒の対象として扱われています。
一方で、家庭の庭で少数を見つけたからといって、直ちに大きな被害につながるとは限りません。海外で警戒されている虫であることは事実ですが、家庭園芸では、発生の程度を見極め、できる対処を確実に行うことが大切です。
まとめ:チュウゴクアミガサハゴロモは怖がりすぎず、卵を残さない

チュウゴクアミガサハゴロモは、近年日本で確認地域が広がっている外来昆虫です。成虫は蛾のように見えることがありますが、分類上はカメムシ目ハゴロモ科の仲間で、幼虫・成虫ともに植物の汁を吸います。
幼虫は白い綿のように見え、成虫は茶褐色の翅に白い斑紋があります。枝に白く毛羽立った跡がある場合は、産卵痕の可能性があります。
家庭の庭で少数を見つけた場合、すぐに薬剤散布を考える必要はありません。まずは見つけた幼虫や成虫を取り除き、枝に産卵痕がないかを確認します。産卵痕のある枝は切除し、庭に放置せず処分します。
この虫の対策で最も大切なのは、生活史を知り、季節に合った対応をすることです。
春は白い幼虫を見つけて取り除く。
夏から秋は成虫と産卵痕に注意する。
秋から冬は、越冬卵を残さないよう産卵痕のある枝を切除する。
「見つけたらパニック」ではなく、「どの段階なのかを見極めて、卵を翌年に持ち越さない」。それが、家庭の庭でできる最も現実的なチュウゴクアミガサハゴロモ対策です。
参考文献・参考資料
農林水産省 植物防疫所「チュウゴクアミガサハゴロモの解説」埼玉県病害虫防除所「令和7年度病害虫発生予察注意報第8号『植木類・チャ・果樹類・宿根アスター等 チュウゴクアミガサハゴロモ』」
埼玉県病害虫防除所「令和6年度病害虫発生予察特殊報第2号 チュウゴクアミガサハゴロモ」
EPPO Global Database “Pochazia shantungensis (Hemiptera: Ricaniidae)”
EFSA Panel on Plant Health “Pest categorisation of Pochazia shantungensis” EFSA Journal, 2023
Credit 文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
