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【事業承継の足枷】会社は譲ったが、借入金の保証は残されたまま――金融庁が創設した「経営者保証情報ネットワーク」の意義と効果

【事業承継の足枷】会社は譲ったが、借入金の保証は残されたまま――金融庁が創設した「経営者保証情報ネットワーク」の意義と効果

「会社は譲った。しかし借入金の保証だけは残ったまま――。」中小企業の事業承継やM&Aでは、経営権の移転が完了しても旧経営者の個人保証が残り続けるケースが少なくない。こうした経営者保証の問題は、後継者不足と並ぶ事業承継の大きな障害の一つとされてきた。こうした状況を受け、金融庁は2026年5月1日、「M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワーク」を開設した。経営者や後継者、金融機関、信用保証協会の間で情報共有を行い、保証契約の必要性について認識の一致を図ることを目的とする。ただし、個別の保証解除を直接実現する制度ではない点には注意が必要だ。はたして新たな仕組みは、事業承継を円滑化する一助となるのだろうか。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

企業が返済できなくなったら、経営者個人に返済責任が…

経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の債務を連帯して保証する仕組み。企業が返済できなくなった場合には、経営者個人が返済責任を負うことになる。

金融機関にとっては貸倒れリスクを抑える手段である一方、経営者にとっては大きな負担となる。特に事業承継の場面では、経営権の移転が終わった後も旧経営者に保証が残り続けたり、後継者が新たな保証を求められたりすることで、承継そのものが停滞する要因となってきた。

全国銀行協会と日本商工会議所が策定した「経営者保証に関するガイドライン」では、一定の要件を満たす場合には経営者保証を求めないことや、保証機能の代替手法を検討することが示されている。しかし現実には、事業承継やM&Aの現場で保証をめぐる課題は依然として残されている。

事業承継を阻んできた「見えにくい壁」

事業承継の現場では、会社の所有権や経営権の移転がスムーズに進んでいるように見えても、その裏で金融機関との調整が大きな障壁となることがある。

旧経営者の保証が解除されないまま残るケースや、後継者に新たな個人保証が求められるケースは珍しくない。また、保証解除の可否について金融機関側から十分な説明がなされず、経営者側が納得できないまま議論が停滞することもある。

金融庁によれば、経営者や後継者が保証解除を求めても、金融機関との間で保証の必要性に関する認識が一致せず、十分な説明が得られないといったケースが少なくなかったという。

「説明の不足」と「判断基準の不透明さ」が重なり、M&Aや親族内承継が前に進まない要因となってきた。

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