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【事業承継の足枷】会社は譲ったが、借入金の保証は残されたまま――金融庁が創設した「経営者保証情報ネットワーク」の意義と効果

【事業承継の足枷】会社は譲ったが、借入金の保証は残されたまま――金融庁が創設した「経営者保証情報ネットワーク」の意義と効果

変わりつつある金融機関の対応

一方で、経営者保証をめぐる金融機関の姿勢には変化も見られる。

金融庁が公表しているデータによれば、2025年上期の新規融資に占める「経営者保証に依存しない融資」の割合は、主要銀行を中心に高まっている。三井住友銀行は74.0%、三菱UFJ銀行は67.9%、りそな銀行は66.3%となっている。

もっとも、地域金融機関まで含めると水準には大きな差がある。保証に依存しない融資が広がりつつあるとはいえ、依然として金融機関ごとの温度差は小さくない。

経営者保証問題の背景にある「3つの構造課題」

経営者保証をめぐる問題は、単なる融資慣行の見直しにとどまらない。後継者不足への対応や中小企業M&Aの活性化、さらには地域経済の維持とも深く関わるテーマとなっている。

まず挙げられるのが、後継者不足との関係だ。中小企業の後継者問題は、「子どもが継ぎたがらない」という単純な話ではない。会社の経営そのものには魅力を感じていても、多額の借入金に対する個人保証や自宅担保、個人資産へのリスクまで引き継ぐことに抵抗を感じるケースは少なくない。

人材不足や事業環境の変化によって経営の難易度が高まっている。そこへ個人保証まで加われば、後継者候補が承継をためらうのも無理はない。経営者保証は金融問題であると同時に、後継者不足の一因として指摘されている。

また、地方経済との関わりも見逃せない。地方では中小企業の廃業が雇用の喪失や地域経済の縮小につながるケースが多いという。事業そのものは継続可能であっても、保証負担の重さから後継者が現れず、結果として廃業に至る企業もあるからだ。人口減少が進む地域ほど、一社の廃業が地域社会へ与える影響は大きい。経営者保証の問題は、一企業の問題にとどまらず、地域経済の持続性にも関わる課題と言えるだろう。

さらに、事業承継後も旧経営者の保証だけが残るという問題もある。経営権は後継者に移っているにもかかわらず、旧経営者が保証責任を負い続けるケースだ。

これは言い換えれば、「責任はあるが権限はない」状態である。一般に不合理とされるこうした状況が、旧経営者の高齢化後も続けば、相続問題へ発展する可能性もある。こうしたケースは、事業承継後も旧経営者の保証だけが残る問題として以前から指摘されている。

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