経営者保証情報ネットワークの仕組み
今回創設された経営者保証情報ネットワークは、M&Aや事業承継の前後において、経営者・後継者・金融機関・信用保証協会の間で情報共有を行う仕組みだ。
その目的は、保証契約の必要性について関係者の認識のずれを減らし、対話を通じて相互理解を深めることにあるという。金融機関が一方的に判断するのではなく、「なぜ保証が必要なのか」「なぜ解除できないのか」を説明し合うことで、納得感のある合意形成を目指している。
対象となるのは全国の銀行、信用金庫、信用組合に加え、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関。利用できるのは現経営者だけではない。事業承継を予定している後継者候補や、承継後も保証が残っている旧経営者、新たに保証を負った後継者なども相談の対象となる。
また、金融機関や信用保証協会側からの相談も想定されており、一方的な苦情受付窓口ではなく、双方の認識を調整するための場として位置付けられている。
制度の限界――保証解除を約束するものではない
もっとも、この制度は万能ではないだろう。経営者保証情報ネットワークは、あくまで対話と情報共有を促す枠組みであり、紛争解決機関ではない。金融庁が個別案件に介入して保証解除を促したり、あっせんや仲介を行ったりすることはない。
そのため、相談を行ったからといって保証解除が実現するわけではなく、最終的な判断は各金融機関に委ねられる。
制度の本質は「解決」ではなく「可視化」にあるようだ。これまで見えにくかった保証契約の必要性や判断根拠を明らかにし、対話を促進することが主な役割となっている。
