人件費の高騰や円安、物価高、そしてナフサショック…
さまざまな要因によって住宅価格の値上がりが止まらず、新築住宅は見積もりや売り出し価格の時点で、予算を超えてしまうことも少なくありません。
そこで注目されているのが、「中古住宅購入+リノベーション」という選択肢です。
中古住宅をリノベーションすれば、新築住宅より費用を抑えながらも、立地や間取りにこだわった住まいづくりを実現しやすくなります。
そこで本記事では中古住宅購入+リノベと新築の費用や特徴を比較しながら、物件選びのポイントや注意点までわかりやすく解説します。
1. 新築 VS 中古住宅購入+リノベーション|費用・立地・自由度で比較
マイホーム計画でとくに重要なのが、「費用」「立地」「自由度」の3つです。
まずはこの3点を比較してみましょう。
1-1.【費用で比べる】総額はどれくらい変わる?
中古住宅は、購入費用にリノベーション費用を加えても、新築住宅より総額を大きく抑えられる可能性があります。
国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査」によると、各住宅タイプの購入資金(全国平均)は以下のようになっていました。
| 平均費用 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 注文住宅(土地購入+建物) | 6,188万円 | 5,030万円 |
| 建売住宅 | 4,591万円 | 4,100万円 |
| 新築マンション | 4,679万円 | 4,500万円 |
| 中古戸建て住宅(取得費のみ) | 2,917万円 | 2,400万円 |
| 中古マンション(取得費のみ) | 2,919万円 | 2,560万円 |
中古住宅は戸建て・マンションともに取得費用が3,000万円以下となっており、新築住宅より購入費用を抑えやすいことがわかります。
ただし、中古住宅は上記に加えてリノベーション費用がかかるため、「どこまで工事するか」という部分が費用総額に大きく影響します。
実際にリフォームガイドが行った独自の調査でも、リフォーム費用は300万円未満から2,000万円以上まで、かなり幅広くなっていました。

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/chuko-reform-report/
最も多い価格帯は300万円未満(約42%)でしたが、グラフを見ると1,000万円以上かかった人も多くいます。
そのためリフォーム費用が占める割合によっては、新築と変わらない、あるいは高くなることもあるでしょう。
リフォームの費用目安については、後ほど詳しく説明します。
1-2.【立地で比べる】希望のエリアで見つかりやすいのはどっち?
室内環境はリフォームで改善できますが、立地は改善できません。
そのため通勤や通学の交通利便性、商業施設や医療機関などの充実度、エリア特性や日当たりなどの周辺環境などを加味しながら、慎重に選ぶ必要があります。
新築住宅と中古住宅では、立地面にもそれぞれ特徴があります。
| 新築住宅 | 中古住宅 | |
|---|---|---|
| メリット |
新しく整備された土地が多い 同世代が集まりやすい インフラや道路が新しい |
駅近や人気エリアでも選択肢が比較的多い 実際の街並みや生活環境を確認しやすい 立地を優先しても新築より費用を抑えやすい |
| デメリット |
人気エリアは価格が高くなりやすい 駅近や都市部は選択肢が少ない 完成前販売では生活環境を確認しにくい |
管理状態によって住環境の差がある 道路幅が狭く、隣家と近い住宅がある 古いマンションは共用部分に築年数を感じやすい |
それぞれにメリットとデメリットがありますが、希望エリア内で物件を探しやすいのは中古住宅です。
実際にリフォームガイド独自の調査でも、中古住宅を選んだ理由の3位が「希望のエリアに新築がなかった(29.2%/66人)」でした。

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/chuko-reform-report/
駅近で商業施設が充実したエリアや子育て環境が整ったエリアなど、立地を優先したい方は、中古住宅も含めて探すことで選択肢が広がりやすくなります。
1-3.【自由度で比べる】自分好みの間取りやデザインにできる?
注文住宅の魅力には「間取りや仕様を自分たちで決められる」点が挙げられます。
しかしそれは、リノベーションも同じです。
たとえば、内外装を解体して1から作り直す「スケルトンリノベーション」なら、内装や設備仕様はもちろん、間取りも自由に変更できます。
外壁・屋根・断熱・耐震性能まで一新すれば、見た目だけでなく性能面も新築同様に仕上げることが可能です。
リフォームガイドの調査でも、「中古購入+リフォーム」を実施してよかったこととして最も多い回答が「自分好みの間取り・デザインを実現できた(35.4%)」でした。

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/chuko-reform-report/
また、中古住宅+リノベなら、物件購入費用を抑えられた分、新築では選べなかったハイグレードな設備や内装材を選ぶなど、住宅の「質」の部分に費用を充てることができます。
2.築何年の物件がおすすめ?中古物件の選び方
ひとくちに中古住宅と言っても、築浅物件から築40年を超える築古物件までさまざまです。
リノベーションして住むなら、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
2-1.リノベした中古住宅はあと何年住める?
まず把握しておきたいのが、リノベーション後に「何年住めるか」という点です。
一般的に、木造住宅は適切なメンテナンスをすれば80年〜100年、RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションは100年以上住み続けられるといわれています。
たとえば築40年の木造住宅なら、リノベーション後40年〜60年、マンションなら60年以上は住めるという計算です。
自分たちの老後までなら、安心して住み続けられるでしょう。
ただし、住宅の寿命を決めるのは、築年数だけではありません。
「構造部分の強固さ」「性能を補えるか」という部分も大きく影響し、耐震・断熱・防水といった基本性能を補強できるかも、住宅寿命を大きく左右します。
そのため物件購入時には、築年数だけで判断せず、建物状態をしっかり確認することが大切です。
2-2.築年数別|中古物件のメリットと注意点
中古物件は築年数によって、購入時のメリットや注意点が変わります。
まずは、以下の表で特徴を整理してみましょう。
| メリット | 注意点 | |
|---|---|---|
| 築10年未満 | 設備、内装ともに比較的きれいで工事費用を抑えやすい | 物件価格が高くなりやすい |
| 築10年~20年 | 表層リフォームで十分対応できる | 水まわり設備の交換が必要になる |
| 築20年~25年 | 物件価格と建物状態のバランスがよい | 内装に加えて外壁や屋根など外装部分のリフォームも必要になる |
| 築25年~35年 | 物件価格を抑えやすい | 耐震補強や断熱施工など、大がかりな工事が必要になる |
| 築35年以上 | 物件価格が低く、好立地の物件が見つかりやすい | スケルトンリノベーションが必要になり、工事費用が高額になる |
一般的には築年数が古い物件ほど購入費用を抑えられますが、工事箇所も増えるため、予算に対して工事費が占める割合が大きくなっていきます。
とくに1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の物件は耐震性が低いため、耐震補強工事によって費用は高額になります。
2-3.コスパと安心のバランスが良いのは「築20年前後」
リノベーション後に住める年数や購入のメリット、注意点などのさまざまな観点から物件を選びたいなら、狙い目は「築20年前後」の物件です。
理由は、物件価格と状態のバランスのよさにあります。
築20年代の物件は安価に購入できるものの、構造部分や耐震性はまだしっかりしていることが多いので、表層リノベーションのみでも長く、安心して暮らせます。
さらにこの築年数帯は市場に流通する物件数も多いため、立地や価格、周辺環境などの条件に合う物件も探しやすくなります。
リフォームガイドの調査でも、購入した中古物件の築年数は「築20年以上30年未満(27.4%)」が最も多くなっていました。

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/chuko-reform-report/
ただし、同じ築20年でも、建物の状態や必要な工事は物件によって大きく異なります。
そのため、築年数だけで判断せず、ホームインスペクション(住宅診断)を活用しながら建物状態を確認することが大切です。

