――数年前、地方都市のどこにでもあるコンビニの駐車場で、中年ヤンキーから理解不能な因縁を付けられたというメーカー勤務のツバサさん(仮名・35歳・男性)。
それはまさに“平成の遺物”とも言える時代錯誤な男との遭遇だったという。

◆真っ黒な日産セダンから1台空けて駐車すると…
ツバサさんは次のアポイント先に向かう仕事の移動中、クライアントに渡す資料をコピーするため、車でいつも利用するコンビニに立ち寄ったそう。現場は住宅街に隣接する、いたってのどかなエリア。トラブルとは無縁に見える場所だ。
「そのとき、広い駐車場には店舗の真正面に1台だけ、真っ黒な日産のセダンが停まっていました。私は相手の運転席のドアが開けやすいよう、あえて1台分のスペースを空けて駐車したんです。
自分なりの配慮というか、真隣に停めると『トナラー』と思われて嫌がられることもあるので、“ドライバーの暗黙のルール”のつもりでした」
ところが、エンジンを切った直後のこと。
「ドンドンッ!!っと助手席の窓を激しく叩く、暴力的な音が車内に響き渡ったんです」
ツバサさんがおそるおそる窓の外に目をやると、そこには黒いセダンから降りてきた、上下黒ジャージ姿の男が立っていたそうだ。
「一瞬、目を疑いました。令和のこの時代にまだこんな“平成ヤンキー”が生息しているのかと……。その男は推定40代前後。金髪混じりの短髪に、曇天の下でもギラつくミラーサングラス、首元には太い金のネックレス……。
一昔前の映画やドラマに出てきそうな、絵に描いたような“平成ヤンキー”そのものだったんです」
◆平成から時が止まったままのようなジャージ中年
そのジャージ中年は、今にも人を殴り倒さんばかりの怒りの表情をしていたため、ビビッてしまったというツバサさん。「恐怖を感じた私は、窓を閉めたまま『なんですか?』と問いかけたんです。すると男はさらに怒り沸騰という感じで、『ナメてんのか!?』、『人が話してんだろ、降りろよ!』、『なんだ今の停め方は!』、『俺の車に文句あんのかよ?』、『お前、殴られてぇの!?』とマシンガンのように大きな声で威嚇してきて…。
声の振動が車内まで響いてくるように感じられたほど、威圧的な怒号を浴びせられ続けました」
ツバサさんの話す通り、広い駐車場でポツンと1台停まっている車の隣を避けるのは、対応としてなにもおかしくないように思えるが、なぜジャージ中年は怒っていたのだろうか。
「おそらくその男は、車を離して停められたことを、『俺の車が汚いとでも言いたいのか』『近寄りたくなくて避けられた』と被害妄想的に捉えたのかもしれません。……しかしなぜ絡まれたのか、今でも正直、理解できません。
そのときは頭の中が恐怖でいっぱいでした。ドアや窓を開けたら最後、引きずり出されて暴力を振るわれるかもしれない、そう思ってドアも窓も閉めたまま『そんなことはないです』と必死に声を絞り出すのが精一杯でしたね」

