◆佐野海舟が鍵を握る「中盤の奪いどころ」
そんなオランダはロングボールこそ多用しないもののゴールへ向かう縦へのスピードが速い。ボールを奪ってから2〜3本のパスで決定的なチャンスをつくり出せる技術とスピードを持っている。ただ、高い技術を持つが故の慢心かもしれないが、縦へ急ぎすぎるきらいがある。つけ込むとしたら、つながる可能性の低い縦パスを出した場面。本来であれば、リスク管理を意識したポジショニングに優れた遠藤を欲する場面ではあるが、急成長している佐野海舟にその役目を期待したい。オランダの慢心は守備時にも見られる。個々の能力が高く、1人で守り切れると過信しているのか、カバーリングなどリスク管理を意識したポジショニングが疎かになることがある。高い位置でボールを奪えれば、チャンスになる可能性は高い。特に、オランダはカウンターに対してセンターバックの2人で守り切れると想定しているようで、実際にその壁は世界でも屈指に強いのだが、サイドのスペースはがら空きになりがちである。だから、奪ったあとはサイドのスペースを使って相手ゴールに迫り、素早いトランジションから思い切りのいい駆け上がりで最終的にゴール前で数的優位をつくり得点へとつなげたい。
しかし、オランダはビルドアップ能力も高い。おそらくセンターバックはファン・ダイクとヤン・ポール・ファン・ヘッケになるだろうが、パスミスはほぼない。そこにMFのタイアニ・ラインデルスやフレンキー・デ・ヨングが引いてきて数的優位をつくりながらビルドアップする。一見奪いどころがないように感じるが、実は2つの奪いどころがある。
◆オランダの隙を突く2つの急所とは?
ひとつはサイドバックだ。先述のように、オランダは良くも悪くも縦への意識が強く、後方でボールを回すときもバックパスは少なく、センターバックも高い位置取り。オランダの狙いとして、左のガクポや右のクリセンシオ・サマーフィルといった両ウイングがウイングバックの裏を狙ってくる。裏へ出せなかったときのパスはセンターバックやMFに戻されるのだが、フリーの確認や単純にボールの質などで雑になりがちだ。パスが乱れる瞬間が日本のひとつの狙いどころなるが、少しずれてしまうとたちまちピンチに陥る。日本はFWとシャドーの3人でボールをサイドへ追いやることになる。そうなったときに奪いにいくのはウイングバックになるのだが、ウイングバックが相手のサイドバックにプレッシャーに行くということは、相手のウイングを誰がマークするという問題が出る。オランダは元よりウイングバックの背後を狙っているため、相手ウイングをフリーにしてしまえばピンチになってしまうということだ。
その場合、最も近いセンターバックがマークを請け負うことになるのだろうが、この受け渡しは寸分の狂いなく実行できる連動性がなければ、失敗が即失点という可能性を十分に秘めている。ただし、敵陣の深い位置で奪えればそのまま相手ゴール付近まで迫れる可能性が高いうえに、最終局面での数的優位もつくりやすくなるので積極的に狙っていきたいところだ。
もうひとつの奪いどころは最終ラインと中盤の間になる。最終ラインを素早く崩せない遅攻の状況になると、その間のスペースへパスが供給されることが多い。また、相手はライン間から連動して次にできたスペース活用しながらゴールへ迫ってくる。
実際に狭いスペースでもボールを受け切れる技術があり、敵の足元からボールを奪うことはなかなか困難ではあるが、ここにもオランダの慢心は潜んでおり、ほぼスペースがないような状況でも積極的にライン間へパスが供給される。
ミスを見逃さずにボールを奪い切りたい。展開するには相手の人数もそろっているのでなかなか困難ではあるが、奪った直後には必ずサイドバックの裏にスペースは空いているので、攻撃の狙いどころとしては同じになる。

