ワイルドストロベリーの種類

ワイルドストロベリーには変異種が多く、さまざまな種類があります。赤い果実がポピュラーですが、黄色や白の果実をつけるものがあるほか、果実のフォルムも種によってさまざまです。ランナーが出るものもあれば、出ないものもあります。さまざまな種があるなかでも多くは品種名がつけられず、全般に「ワイルドストロベリー」として流通しているようです。
‘アレキサンドリア’
アレキサンドリア・ストロベリーとも呼ばれ、春から秋にかけて実がよくつく品種です。実は甘くて香りがよく、ジャムにすると美味。ランナーがほとんど出ないのではびこりすぎる心配がなく、花壇や寄せ植えなどに利用しやすいのが特徴です。ライムグリーンの葉が明るい印象の品種‘ゴールデンアレキサンドリア’も人気です。
‘アルパインイエロー’
果実は明るいクリーム色でミニサイズですが、甘みがあります。花も食べられるのでサラダに添えて彩りにするのもおすすめ。ランナーが出ないので管理しやすく、コンテナの寄せ植えやハンギングバスケットにも向いています。寒さや暑さに強く、病気にかかりにくい丈夫な品種です。
‘ミグノネッテ(ミニョネット)’
ランナーが出にくいため、花壇でも増えすぎることなくほかの植物と調和しやすい性質です。生育旺盛で花つきがよく、香りのよい果実がたくさん収穫できます。丈夫な品種で、花壇にも鉢植えにも向いています。
ワイルドストロベリーの栽培12カ月カレンダー
開花時期:4〜6月、9~10月
結実時期:4〜7月、9月中旬〜10月中旬
植え付け・植え替え:3〜6月、10〜11月
肥料:3〜5月、10〜11月(鉢植え)
ワイルドストロベリーの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では花数が少なくなり、実つきも悪くなるので注意しましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】土質を選ぶことなく、乾燥しやすい場所でもよく耐える丈夫な性質ですが、多湿の場所は苦手とします。
耐寒性・耐暑性
ワイルドストロベリーは暑さや寒さに強く、耐寒温度はマイナス20℃程度と、特に対策をしなくても戸外で越冬できます。
ワイルドストロベリーの育て方のポイント
用土

【地植え】
苗を植え付ける2〜3週間以上前に、苦土石灰を散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、堆肥や腐葉土、緩効性化成肥料をまいて、よく耕しましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。
【鉢栽培】
草花の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。
水やり

蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。
夏は気温の高い時間帯に水やりすると、直射日光に当たることで土の温度が上がってお湯のようになり、株が弱るので、涼しい朝か夕方に与えるようにしてください。
冬は、気温が十分に上がった昼ぐらいに与えましょう。夕方以降に水やりすると凍結の原因になるので注意します。
【地植え】
地植えの場合は根付いた後はほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。
【鉢栽培】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
やせ地でも育つ丈夫な性質なので、土づくりの際に元肥を施してあれば追肥の必要はありません。葉色や花色が冴えず、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見るとよいでしょう。
【鉢栽培】
3〜5月と10〜11月に、月に1度を目安に緩効性肥料をばらまいて土に馴染ませておきます。または、10日に1度を目安に液肥を与えてもよいでしょう。
注意する病害虫

【病気】
ワイルドストロベリーの栽培で発生しやすい病気は、うどんこ病や灰色かび病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合いすぎていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
ワイルドストロベリーの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシやハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
ワイルドストロベリーの詳しい育て方
苗の選び方
ワイルドストロベリーの苗を購入する際は、株の中心にあるクラウンが大きく膨らみ、葉の色艶がよいものを選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え

ワイルドストロベリーの植え付け適期は、3〜6月か10〜11月です。
【地植え】
土づくりをした場所に、約30cmの間隔を取って苗を植え付けます。ワイルドストロベリーの苗は、葉が付け根から放射状に伸びますが、この付け根の膨らんだ部分を「クラウン」といいます。このクラウンは成長点のため、土に深く植えて埋めてしまうと、成長しなくなります。ワイルドストロベリーを植えつける際は、クラウンを埋めないように浅植えにするのがポイントです。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。
地植えの場合、環境に合ってよく育っていれば植え替えの必要はありません。
【鉢栽培】
植え付ける鉢は、5〜7号鉢を準備します。底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に草花用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。ワイルドストロベリーの苗は、葉が付け根から放射状に伸びますが、この付け根の膨らんだ部分を「クラウン」といいます。このクラウンは成長点のため、土に深く植えて埋めてしまうと、成長しなくなります。ワイルドストロベリーを植えつける際は、クラウンを埋めないように浅植えにするのがポイントです。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。
根詰まりすると株が衰えて花が咲きにくくなるため、鉢植えで育てている場合は毎年植え替えをするとよいでしょう。古い土を軽く落とし、元の鉢か一回り大きな鉢に新しい土を入れて植え付けます。
収穫

ワイルドストロベリーの収穫適期は、4〜7月と9月中旬〜10月中旬です。果実が赤く熟したら、適宜摘み取ります。果実を収穫したら、長く伸びた花茎は元から切り取っておきましょう。ワイルドストロベリーは生食できるほか、ジャムに加工するのもおすすめです。
剪定・切り戻し

葉が茂って込み合いすぎて株姿が乱れ、風通しが悪くなっているようであれば、株元まで切り戻しておきましょう。すると再び新しい葉が展開し、株が若返ります。
夏越し

ワイルドストロベリーは暑さに強いほうなので、特に対策は必要ありません。しかし、近年の夏は年々気温が高くなる傾向にあり、日差しも強いため葉焼けすることがあるようです。もしひどく葉焼けするようであれば、遮光するか地植えの場合は鉢に植え替え、風通しのよい半日陰の場所に移動しておくとよいでしょう。
冬越し

ワイルドストロベリーは寒さに強いので、厳寒地でなければ冬も戸外で越冬できます。霜が降りたり、霜柱が立ったりする環境では、株元にバークチップやわらなどを敷き詰めてマルチングをしておくと万全です。ワイルドストロベリーは常緑性のため、冬もみずみずしい葉姿を保ちますが、寒さで葉が傷んだり、枯れ込んだりすることがあります。春になったら、枯れ葉や傷んだ葉は株元でカットしておき、株まわりをきれいにしておきましょう。
増やし方

ワイルドストロベリーの寿命は3~5年程度なので、長く楽しむためには株を更新しながら育てるのがおすすめです。ワイルドストロベリーの増やし方には主に、ランナーから増やす方法と株分けする方法があります。
【ランナーから増やす】
ワイルドストロベリーは、初夏頃から次々と長いつるのランナーを伸ばし始めます。ワイルドストロベリーはこのランナーから新しい葉や根を出して、次々に子株を増やしていく性質を持っているので、これを利用して株を増やしてみましょう(ただし、ランナーを出さない品種もあります)。
親株から出たランナーにできる1株目は、生育が不安定になりやすいので利用せず、1株目からさらにランナーを伸ばして2節目にできる子株を採取することにします。2節目から出た葉と根が出てきたら、ポリポットに培養土を入れてランナーをつけたまま植えつけましょう。そのまま3週間ほど経つと、根がしっかり活着するので、親株とつながっているランナーを切り取って独立させます。子株は育苗して10〜11月に定植しましょう。
ワイルドストロベリーの繁殖能力は旺盛で、1株からランナーを旺盛に伸ばし、多数の子株を採取することができます。プランター栽培などでは、「邪魔だな」と思うこともあるほど。増やす必要がない場合は、ランナーが伸び始めたら早めに切り取ってもかまいません。
【株分けする】
ランナーを出さない品種は、株分けをして増やすことができます。作業の適期は4〜6月か、10〜11月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げてクラウンごとに根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
魅力満載のワイルドストロベリーを栽培しよう

暑さや寒さに強く、病害虫も発生しにくい丈夫な性質のワイルドストロベリー。小さな5弁花は愛らしく、果実の収穫も楽しめます。ランナーを伸ばして生育する品種はグラウンドカバーとして利用することも可能です。ビギナーでも育てやすいワイルドストロベリーを庭やベランダに取り入れてはいかがでしょうか?
Credit 文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
