「買い手がいません」住み替え検討も、提示された査定額に絶望
ヨシキさんは、今のところ元気に車を運転していますが「いつまでも運転できるわけではない」と考えることが増えたといいます。
「老後は駅や病院、スーパーが近い利便性の高い場所で暮らしたい」と考えたヨシキさんは、自宅を売却して住み替えることを決意します。
「6,000万円で購入した家だから、3,500万円くらいでは売れるだろう。残った資金と貯金を合わせれば住み替えもできるはずだ」
そう考え、不動産会社へ査定を依頼します。しかし、提示された査定額は1,900万円。
担当者いわく、人口減少と高齢化が進み、この街で家を探す人自体がほとんどいないというのです。
ヨシキさんの住宅ローン残高は約1,900万円。もし査定額どおりに売却できたとしても、仲介手数料などを差し引けば赤字になる見込みです。
住み替え資金になると思っていたマイホームは、いつしか「売りたくても売れない負動産」へと変わっていました。
住み替えを考えても身動きが取れない。ヨシキさんは八方塞がりの状況に陥ってしまったのです。
郊外の新興住宅地に潜む「負動産」リスク
郊外の新興住宅地は、購入当初は街並みが新しく、同世代の子育て世帯も多いため魅力的に見えるものです。近くに大型モールがあれば、生活利便性も高く感じるでしょう。
しかし、郊外の新興住宅地は長期的には次のようなリスクがあります。
- 住民の高齢化が並行して進む
- 資産価値が維持しにくい
- 商業施設が撤退する可能性がある
- 公共交通機関が弱くなりやすい
新興住宅地は同時期に開発されることが多く、住民の年齢構成も似通う傾向にあります。そのため数年後には街全体が高齢化し、子ども世代も都市部へ流出するケースも少なくありません。
実際、空き家問題は全国的な課題となっています。総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸と過去最多を更新しました。さらに人口減少が進む地域では、商業施設の撤退なども起こりやすくなります。
[図表1] 出典:総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
こうした状況になると住宅需要は低下し、資産価値も下がりやすくなります。なかには売却価格を大きく下げても買い手が見つからないケースも珍しくありません。
そのため、マイホームを購入する際は現在の住みやすさだけでなく、将来の売却も意識した物件選びが重要です。
