筆者も仕組みに惹かれ、東京から四国のとある事業者のもとへ向かい、約2週間働いた。穏やかな滞在だった──最終日の夜までは。

◆全国を渡り歩くベテラン参加者が
同じ時期に関東から来ていた30代後半の男は、大企業に勤めた後に脱サラし、現在はマッチングサービスを使って各地を渡り歩いているそうだ。行く先々で短期間働いては次の土地へ移るスタイルで、話を聞く限りベテランの利用者だった。仕事ぶりは真面目で、頼れるバイト先の先輩のような印象を受けた。正直、少し距離が近いかなと感じる瞬間も存在した。「自分の部屋で飲み会をしよう」と受け入れ先のスタッフも含めて声をかけていたし、休みの日には車で遠出しようと誘われたことも一度や二度ではない。わたしは個人的に観光の計画を立てていたり、本業の仕事もリモートでおこなっていたので、忙しさを理由にどちらの誘いもやんわり避けていた。あの判断は、今思えば間違っていなかった。
◆最終日に明かされたのは…
滞在最終日の夜、受け入れ先の事業者の方々がお疲れ様会を開いてくれた。解散後、宿が同じ男と一緒に帰る道中、あることを話しはじめた。曰く、旅先で出会った女性と性的な関係を持つことを楽しんでいるそうだ。マッチングサービスは女性と関係を持つための手段でもあるらしい。そのうえで、わたしにも同様の関係を求めてきた。口調は終始、こちらを丸め込むような調子を崩さない。全国を転々とする旅の「もう一つの目的」を、悪びれもなく見せつけられた瞬間だった。
最初は「私にはない価値観だわ」と遠回しに断った。だが男は「普通だよ」「みんなやってるよ」と食い下がってくる。周囲に人の気配はない。静まり返った夜に二人きりの環境下で、だ。

