◆炎上騒動の最中は「夜が来るのが怖かった」
そんな中、2015年に転機が訪れる。『M-1グランプリ』が復活したのだ。
「妻にも笑い飯の西田さんにも『決勝に出られなかったら、もう芸人を辞めます』と宣言しました。それくらい、崖っぷちだったんです」
大学生だった筆者は『THE MANZAI』も『M-1グランプリ』もリアルタイムで見ていたが、スーパーマラドーナの漫才は数年の間に気迫が大きく変わったように感じた。まさに「鬼気迫る」仕上がりだった。
しかし、結果は実らず、ラストイヤーの2018年は7位に終わる。さらに、番組スポンサー主催の飲み会で、とろサーモン・久保田かずのぶとともに、審査員を務めた上沼恵美子を批判する動画をインスタグラムで公開。炎上騒動となった。
「当然ながら、日本中から大バッシングを受けました。約2万件もの誹謗中傷が寄せられて、それを一つひとつ見ているうちに、夜が来るのが怖くなりました。昼間は平気でも、日が暮れて夜になると、とても不安になります。当時は、心身ともに少しおかしくなっていたのだと思います。とにかく、眠れませんでした」
◆気絶するまで痛飲するように
もともと睡眠障害があった武智は、精神的に不安定になった30代半ばから、デエビゴやミルタザピン、メイラックスなどの睡眠導入剤や抗うつ薬を処方されていた。そして、それらを酒と一緒に飲んでいた。
一般的に、睡眠薬や抗不安薬をアルコールと一緒に服用することは危険だとされる。薬の作用が強く出すぎ、意識障害やふらつきなどの副作用を引き起こすおそれがあるからだ。それでも武智は眠ることができなかった。
「夜11時から飲み始めて、翌朝4時まで麦焼酎のソーダ割りをジョッキ20杯は飲んでいました。映画を2本観たりしながら、気絶するように眠るのを待っていました」
当然、そんな量の酒を飲んでいて、日中を健康に過ごせるはずがない。2021年、テレビのネタ番組へ出演した際に異変が起きた。
「二日酔いでスタジオに入ったのですが、久々の全国放送だったので緊張し出したんです。すると、体中が震えだして過呼吸になったんです。それまで、そんなことなかったのですが、その日は過呼吸になりながら漫才をする羽目になりました。それがトラウマになってしまい、普段の漫才の出番でもその症状がたびたび出るようになったんです」
心療内科へ行くと、「不安症」と診断された。「自律神経が言うことを聞かなくなっている状態」と言われた。そして医師から「酒をやめるように」と忠告される。

