良い素材が生み出すおいしさ。人とのつながりが支えるプロのスイーツ

「香り」を大切にしている脇坂シェフのスイーツですが、それだけではありません。「おいしさ」を引き出すためには、“素材へのこだわり”も欠かせないポイント。その想いについて伺いました。
脇坂シェフ:果物は農家さんから直接購入するようにしています。素材そのものが好きというのはもちろんですが、農家さんとのつながりも大切にしたいと思っているからです。季節ごとに、信頼している決まった農家さんから取り寄せています。仕事の関係で山梨に行くこともあるのですが、その際には直接農家さんの元へ伺うこともあります。
その上で、素材の組み合わせについては、「目を閉じて食べても何のお菓子かがすぐに分かるように仕上げること」を大切にしています。僕らパティシエの中でも、つい多くの素材を詰め込みすぎてしまい、その結果として自己満足に陥ってしまうことがあるんです。説明されないと分からないようなお菓子はあまり良くないと思っているので、分かりやすさはすごく大事にしています。
その一方で、「食べたことがあるようで、ほんの少し新しい香りがするな」と感じてもらえる程度の隠し味は加えたいと考えています。
焼き菓子を通して届けたい、作り手の日常と感動


店内には足を踏み入れると、目の前には定番のものから季節を感じるケーキを始め、全種類を手に取りたくなるような、魅力的な焼き菓子が勢ぞろい。

中でも香りに誘われて思わず目を引かれるのが、焼きたてがそのまま運ばれてくる「焼きたてフィナンシェ」です。取材中、ちょうどタイミングよく焼きたてのフィナンシェが運ばれてきましたが、店内に広がる焼きたてならではの香ばしい香りは、今でも忘れられません。

そんな焼きたてフィナンシェを始めたきっかけと、人気の秘密について伺いました。
脇坂シェフ:長年修行をしていた頃から、「焼きたてのフィナンシェは格別に美味しい」と感じていました。作る側としては常に出来立てを口にしていたのですが、ある日、店頭に並び時間が経った焼き菓子を食べたとき、その味わいがまったく違うことに気づいたんです。
その経験を通して、「店頭に並んだあとの状態まで想定してレシピやお菓子を設計しなければいけない」と強く思うようになりました。
だからこそ、「できるだけ鮮度の良い状態で召し上がっていただきたい。焼きたてならではの“外はサクサク、中はじゅわっと”した食感を楽しんでいただきたい」という想いから始まった商品です。ぜひ、個包装のフィナンシェとの食べ比べも楽しんでいただきたいですね。
オープン当初からシェフ自ら作っているという、フィナンシェには欠かせない「焦がしバター」の味わいも必見です!