
初夏の庭は、おすそ分けや特別な時間を運んでくれる素敵な空間。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、日本の住宅街で実践する、庭を目いっぱい楽しむアイデアをご紹介します。友人たちと20kgもの梅を収穫した賑やかな週末から、朝8時半から始まるユニークなサプライズ・ガーデンパーティー、そしてお庭を彩るハーブ「タイム」の活用法まで。人とつながり、毎日の暮らしをちょっと豊かにするヒントが満載です。
人と人をつなぐ果実

ドイツ南部生まれの私にとって、広々とした畑や緑、森、牧草地、そして果樹は慣れ親しんだものです。当時、最も身近な果樹は、実家の庭の隅にあったミラベルプラムの木。隔年でやってくる成り年には、家族だけではとても食べ切れないほどの収穫がありました。そこで、近所の方や友人に収穫作業を手伝ってもらったり、採れた果実をおすそ分けしたりするのが日常でした。彼らも喜んでくれましたし、せっかくのプラムを無駄にせずに済む私たちにとっても嬉しいものなのです。

こうしたおすそ分けは、しばしば果物交換のような形になります。
例えば、我が家から夏にミラベルプラムをお分けすると、後になってプラムとリンゴがお返しされます。また、数リットルの自家製リンゴジュースやフルーツケーキなど、加工された形でいただくこともありました。
自宅で採れる果実は、人々との繋がりのポイントになり、より仲良く楽しく暮らすためのアイテムにもなりますね。
現在、日本で私が暮らしているのは住宅街で、近隣に農地は見当たりません。もしかしたら農家の方もいるのかもしれませんが、偶然に頼るか人を通じてでなければまず気づくことはできないでしょう。そのためか、ドイツほどはこうした果物交換は活発でないようです。
梅の実を探して

梅雨の季節、スーパーにも1kg入りの梅の袋が並び始めます。家族が梅酒や梅シロップを漬けるために梅の実を探していたので、店頭で見つけて思わず買ってしまいそうになりました。
購入しなかった理由は、顔の広い友人に、誰か梅の実を持て余している人がいないかを尋ねていたため。数日後、実家の庭に梅の古木があるけれど、収穫していない人がいるという素晴らしい知らせが届きました! なぜ活用していないのか理由は分かりませんが、おそらく多忙なのか、もしかすると梅酒作りなどにあまり関心がないのかもしれません。
その方は近所に住んでいらしたので、さっそく伺ってみることに。嬉しいことに、実った梅はとても大粒で、収穫もしやすい状態でした。
かつては手入れの行き届いた美しい日本庭園だったその場所に入ると、甘い梅の香りが漂ってきました。それはまるで香水のような、とても素敵な香りでした。
梅の木は樹齢70年を超えているとのことでしたが、姿も美しく、とても健康そう。消毒などもしていないそうで、オーガニックなのも嬉しいものです。
脚立と小さなバケツを手に、早速収穫をスタート。大人3人がかりで、休憩なしで2時間以上かけ、ようやく2本の木から収穫を終えることができました。
いくつものバケツいっぱいに集まった緑色のフレッシュな梅の実に加え、すでに熟して落ちた実も拾い集めて梅ジャムを作ることにしました。

収穫の際の作業で厄介だったのが、木々の周囲に時に密に生い茂る植物。日本庭園だった場所なので、脚立を立てたい場所の近くに、ツツジやソテツ、ユリなどが茂っているのです。どうにかそれらを傷つけないように脚立を立てたものの、大きく育ったソテツは葉が鋭く尖っていて危険なため、その茂みに落ちてしまった梅の実は回収することができませんでした。それらは虫や鳥たちにとってのご馳走になったことでしょう。

結局、収穫した梅は20kg以上もあろうかというほどで、3人で分けてもたっぷりありました。これだけの宝物を抱えて帰宅したものの、さて何を作ろうかと決めるのは容易なことではありません。あまりの量の多さに、下準備をして保存作業を終えるまで、ほとんど丸一日を費やすことになりました。この梅の実は、これから何カ月、あるいは何年にもわたって私たちを楽しませてくれることでしょう。

梅酒、梅シロップ、梅ジャム、梅干し、梅味噌、梅サワー、梅醤油、梅の甘酢漬け……。
今回は梅尽くしの週末を楽しみましたが、あまりの量にもう少しでギブアップしそうになる瞬間もありました。
それでも、今や私たちの手元には梅仕事の成果として、毎日軽くゆすったり面倒を見なければならないたくさんのガラス瓶があります。それらはやがて美味しい保存食となり、未来の私たちを楽しませてくれることでしょう。

