◆父の背中から学んだ、覚悟の決め方
そんな武士道的な原点を、松木は父の背中から学んだそうだ。「僕の父は特攻隊の生き残りでね、献身的に尽くすということの大切さを小さい頃から聞いていた。そんなことも影響していたのかもしれませんね」
一度決めてしまえばあとは進むのみだった。
「母方の家は日本橋の老舗のうなぎ屋、父の方の祖父は十両の力士。僕はそんな江戸っ子気質を受け継いでいるから、一度決めたら引けないんです」
当時の覚悟を笑顔で振り返る。
「これは書いてほしいんだけど」
そう前置きをした。
「日本のサッカー史上、最も難しい仕事をしたのは、僕だと思う」
控えめではあるが、松木は少しだけ胸を張った。
<TEXT/海老原一哉>
【海老原一哉】
1980年生まれ。ライター。元夕刊紙記者。週刊誌での人物インタビューなどを中心にカルチャー、芸能、スポーツなど幅広い分野を取材。ジャンルを超えて「異端」とされる人物、テーマを追いかけている。

