学習により重大トラブルを回避した事例とM&A顧問の意義
ある中小企業の経営者は、M&A仲介業者から提示された条件に当初は違和感を持たず、M&A契約締結に向けて交渉を進めていました。しかし、事前にM&Aに関する書籍やセミナー等で一定の知識を得ていたことから、株式価値評価、表明保証条項、経営者保証、役員退職慰労金、価格調整条項、デューデリジェンスなどについて、自ら疑問点を整理することができました。
その後、M&A顧問として弁護士が関与し、契約内容の整理やリスク分析を行った結果、経営者保証解除条件の不明確さや、広範な表明保証責任などの問題点が判明しました。最終的には、M&A契約条件の修正が行われ、重大なM&Aトラブルを回避することができました。
このように、M&Aにおいては、単に専門家へ依頼するだけではなく、経営者自身が一定の知識を持ち、主体的に意思決定へ関与することが重要となります。また、外部専門家は、契約書の作成のみを目的とするものではなく、M&Aプロセス全体におけるリスク把握と意思決定支援という役割を有しています。
まとめ
中小企業のM&Aでは、想定外のトラブルを完全に排除することは困難です。しかし、M&Aの基本構造や典型的M&Aトラブルを理解しておくことで、重大なリスクを回避できる可能性は高まります。
また、M&Aでは、売主、買主、M&A仲介業者、専門家の間で情報量や経験値に差が存在することも少なくありません。そのため、経営者自身がM&Aについて学び、主体的に判断する姿勢が重要となります。
M&A顧問を含む外部専門家の助言を活用しながら、契約内容やリスク構造を理解した上でM&Aを進めることが、後悔の少ないM&Aにつながるものと思われます。
弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士
土屋 勝裕
