領収書がない場合、レシートや出金伝票が「証拠書類」に
しかし、領収書がない状態でも適切なやり方をしていれば経費として認められる方法があります。手元に領収書がないことに気づいても、あわてずに以下の方法を試してみてください。
1.領収書を再発行してもらう
もっとも確実なのは、お店に領収書の再発行を依頼することです。しかし、お店側には再発行に応じる法的な義務はないため、断られるケースもあります。
また、応じてもらえた場合でも、同じ領収書がこの世に2枚存在することになるため、不正を疑われないように「再発行済み」という文言を入れてもらうのが安全です。
2.レシートを保管する
「宛名書きのある手書きの領収書でなければダメ」と誤解している方も多いですが、税務上はレシートも領収書も同等の証拠書類です。
むしろ、手書きで「品代」とだけ書かれた領収書よりも、「コピー用紙500円」「ボールペン150円」など細かい内訳が印字されているレシートのほうが、事業関連性の説明がしやすいため証拠力が強いとさえいえます。
ただし、感熱紙のレシートは時間が経つと文字が消えやすいため、保管には注意が必要です。
3.クレジットカード明細・通帳記録を活用する
クレジットカードの利用明細や、銀行振込であれば通帳の取引記録も支払いの証拠になります。
たとえば、事務所の家賃を口座振替で支払っている場合、領収書は出ませんが、銀行の通帳記録と賃貸借契約書(支払額や振替日が明記されているもの)をセットで保管しておけば、税務調査でも問題なく説明できる十分な証拠になり得ます。
4.出金伝票と裏付け資料をセットにする
自販機での飲み物の購入など、現金払いで領収書もレシートもない場合は、自分で「出金伝票」を作成するといいでしょう。この出金伝票には、「日付、相手先の名称、支払った金額、支払いの目的」などを記載します。
ただし、これだけでは客観的な証拠として弱いため、必ず下記のような「裏付け資料」を一緒に保管しておくことが重要です。
・割り勘の飲食代:出金伝票+一緒に飲食した相手の名刺のコピー
・公共交通機関の利用:出金伝票+社内の交通費精算書や駅の券売機での利用履歴
・ご祝儀・香典:出金伝票+結婚式の招待状や関連書類
ただし、Suicaなどの交通系電子マネーへのチャージは、単なる「現金から電子マネーへの交換」であるため、チャージした時点では経費にできません。実際に交通機関等で使用したタイミングで経費化するようにしましょう。
「デジタル管理」は「撮影するタイミング」に要注意
紙の領収書の保管が面倒な場合は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たした会計ソフトやアプリを使った「デジタル管理」を併用するのがおすすめです。特に、「JIIMA認証」のあるアプリ等を使えば、スマートフォンで撮影するだけでデータとして保存できます。
ただし、撮影するタイミングにはルールがあり、基本は「受け取ってから7営業日以内」です(社内で経費精算ルールを整備していれば最大2ヵ月+7営業日まで認められます)。タクシーやエレベーター内などのスキマ時間に、受け取ったその日のうちに撮影するのが確実です。
要件を満たして保存すれば紙の原本は原則として廃棄できますが、廃棄の運用ルールをしっかり定め、慣れないうちは念のため紙と併用して段階的にデジタル化を進めることをおすすめします。
また、消費税のルールにも注意が必要です。2023年10月からスタートしたインボイス制度により、支払った消費税を差し引く「仕入税額控除」を受けるには、相手がインボイスを発行できる事業者であり、かつ「T」から始まる登録番号が記載されたインボイス(適格請求書)を保存しておく必要があります。
クレジットカード明細や通帳でお金を支払った事実は証明できて「経費」にはなっても、お店側がインボイス発行事業者でなければ消費税の控除対象にはならないケースがあります。ただし、3万円未満の公共交通機関や自動販売機での購入については、特例として帳簿への記載のみで認められます。
