◆「55か所」の刺し傷…法廷で明らかになった凄惨な犯行

法廷にはその報告書が、傍聴席からも見える大型モニターに映された。頭部、後頚部、顔面などの各部位のイラストと、負傷部分が赤色で表現されていた。狂気じみた犯行を図表化したかのように、多数の赤色で傷が表現されたイラストの凄惨さに、筆者は思わず目をそらしてしまった。
司法解剖で、佐藤さんは多数回もナイフで刺されたことによる「多発刺切創による出血性ショック」と断定。解剖の結果、合計「55か所」の創傷が判明した。すなわち、少なくとも55回はナイフで刺されたことになる。
イラストの中でも際立っていたのは、首元の傷。一番深い9センチの傷で、動脈を切断しており、致命傷と認定されている。
そんな惨い姿のイラストが映し出されていたが、高野被告は表情を変えることなく、口をへの字にして、自席の隣に設置された小型モニターを凝視していた。
◆大金で結ばれた関係が迎えた最悪の結末
およそ20歳差の高野被告と佐藤さん。冷静に考えれば、佐藤さんが親世代にもなる自身に好意を寄せているわけはない。だが、大金で結ばれた両者の関係は簡単に切れなかった——。後編では、弁護側の主張と佐藤さんの実母の嘆きを記す。
文/学生傍聴人
【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。

