◆「なんで殺したの」法廷で読み上げられた悲痛な叫び

「愛里がいなくなってから、大阪に住んでいる男性から『お金を返してほしい』と電話があったり、(支援施設にも)サトウという男性から『お金を返してほしい』と連絡があったと言われました」
実母と佐藤さんが最後に対面したのは、事件の前年の24年だった。時が経ち、「とても可愛い存在」という愛娘は遠い地で殺害された——。
「(警察からの電話で)頭が真っ白になって、涙がとまりませんでした。『なんでこんなことになっているの』という言葉しかないですし、頭が真っ白になってしまいました。火葬するときに、『もう痛くないね』、『ゆっくり休みなね』と声をかけました」
愛娘の突然の死に、高野被告への強い怒りをにじませる。
「『なんで死ななきゃいけないの』、『なんで殺さなきゃいけないの』と思うばかりです。高野さんはお金のことで悩んでいて、愛里がお金を返していないのなら、それは悪いことですし、ごめんなさい。高野さんもお金のことで苦しいと思うが、なんで殺したの。一生許さない。絶対に許さない。高野さんのことは厳しく処罰してほしいです」
◆実母の供述にも無言のまま…
法廷に響き渡る実母の嘆きを聞いても、高野被告は表情を変えずに口を結び、供述調書が映し出された、自席にある小型モニターを凝視していた。残忍な犯行の背景にちらつく、高野被告と佐藤さんのゆがんだ関係——。投げ銭や金銭トラブルをきっかけに築かれた関係は、取り返しのつかない悲劇へと行き着いた。その責任が法廷でどう判断されるのか、今後の審理が注目される。
取材・文/学生傍聴人
【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。

