あなたの腎臓は大丈夫?「リンの取り過ぎ」で慢性腎臓病に
「腎臓は血液をろ過し老廃物や余分な水分を尿として排泄する他、血中の成分や、血圧、骨の代謝などを調整する、『人体の管理人』と言える重要な役割を担っています」
そう話すのは自治医科大学名誉教授で老化・腎臓研究の第一人者である黒尾誠さん。一方で、年齢とともに腎臓の働きが低下するにつれ、「ある物質」が腎臓の衰えをさらに加速させると指摘します。
「それが『リン』です。骨の主成分となるリンは、人体に必須のミネラル。しかし加工食品などに含まれるリン添加物の影響で、現代人は過剰摂取しがちです。余分なリンの排泄も腎臓の役目ですが、その量が多いと、原尿(尿のもと)のリン濃度が上昇します。するとそこでリンがカルシウムと結びつき、毒性のある微粒子(CPP)が発生します(下図参照)」
CPPは、腎機能の中核を担う「ネフロン」にダメージを負わせ、腎機能の低下を招きます。
「今や成人の5人に1人が慢性腎臓病を発症し、“新たな国民病”と言われるほど。重症化すれば人工透析を免れず、心筋梗塞や脳卒中のリスクも極めて高まります」
腎機能を担うネフロンは、実は「消耗品」。60代で20代のほぼ半分にまで減少し、再生しません。一方で、多くの加工食品にはリンを含む添加物が使われているため、機能が低下した腎臓にさらなる負荷をかける結果に。それが、さまざまな病気や老化を招きます。
血管が「石灰化」し、脳卒中や心筋梗塞などの引き金になる

血中のCPPの作用で血管がカチカチに石灰化してもろくなり、脳卒中や心筋梗塞の引き金に。「有効な薬がないぶん、コレステロールによる動脈硬化より危険と言えます」(黒尾さん)
慢性腎臓病を発症、重症化すると人工透析が必要になる
「たんぱく尿が出る」「腎臓の働きが健康な人の60%未満に低下」のいずれか(または両方)が3か月以上続くと、慢性腎臓病と診断されます。進行すると、人工透析が必要となる可能性が出てきます。
腎臓の機能が低下すると肌のくすみやしわにつながる可能性も
さらに腎臓の衰えは、「見た目の老化にも影響する可能性がある」と黒尾さん。
「腎臓の機能が低下し、尿中へのリン排泄が遅れがちになると、今度は血中にCPPが出現します。すると体中で慢性炎症が起き、それが肌のハリの低下やくすみ、しわなどに結び付く可能性があります。年齢より老けて見える方は、腎機能の低下を疑うべきかもしれません」
腎臓は「沈黙の臓器」と言われるように、機能が正常時の半分ほどになって初めて自覚症状が出るケースが多く、黒尾さんも「65歳を超えたら、誰もが腎臓をいたわる生活を意識することが必須です」と警鐘を鳴らします。
「ポイントは“リンをとり過ぎないこと”に尽きます。ほんの少しの心掛けが、腎機能の低下を防ぐ鍵になります」
血中のリン濃度が少ない動物ほど、寿命が長い?
上は、血液中のリン濃度が高い動物から低い動物へ順に並べたグラフです。寿命とのきれいな相関関係が見られ、「血中のリン濃度が低い(リンの排出機能が高い腎臓を持つ)動物ほど長生き」ということが見て取れます。
「リンが老化加速物質であり、腎機能を保つことこそが寿命を左右すると推察できます」(黒尾さん)

