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日本が「強豪国」になるために必要なのは…ベテラン記者が「森保監督にもう1期続けてほしい」と思うワケ

日本が「強豪国」になるために必要なのは…ベテラン記者が「森保監督にもう1期続けてほしい」と思うワケ

FIFAワールドカップ2026での優勝を目指していたサッカー日本代表は、決勝トーナメント1回戦でブラジル代表と対戦して1-2で敗れた。ノックアウトラウンド初勝利とはならずベスト32止まりで、最高の景色は見られぬ結末となってしまった。

田中碧
ブラジル戦後、うなだれる田中碧

◆佐野海舟のゴールで先制するも…

「凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ」

古代中国に編さんされた兵法書『孫子』に書かれた一節だ。

まさに今回のブラジル代表は、この言葉を象徴しているように感じる。自分たちの正攻法で戦い、遂行できていないとわかれば優位になれるポイントを見つけて戦術を変更。歴戦の名将カルロ・アンチェロッティ監督の才覚を見せつけられた試合になってしまった。

具体的には、ヴィニシウスのポジションを外側へ広げて、中盤の3人もゴール前に送り、空中戦を仕掛けるためにクロスを放り込むという戦術だった。

最終ラインを高くして全体の陣形をコンパクトにした日本の守備にブラジルは手を焼いていた。試合後にアンチェロッティ監督が「前半はスペースを見つけるのに苦労した」と明かしている通り、中盤と最終ラインの間のスペースを有効活用しようとしていたが、素早いプレッシングやカバーリングを行う組織的な日本の守備網を打ち破れなかった。また、それは日本にとって選手同士の距離感が心地いい状態で、コンセプト通りの「いい守備からいい攻撃」を見せて佐野海舟が先制点を挙げた。

後半になりブラジルが戦術を変更すると、日本は中盤の選手も最終ラインに吸い込まれるようになり、連動した組織的なプレッシングが無効化。選手同士の距離も悪くなったため、いい攻撃へつなげる糸口も見つけられなくなってしまった。さらに、その距離感はブラジルにとって心地のいいものになってしまい、結果的に即時奪回するカウンタープレスが効果を増してブラジル選手のトランジションも速くなっていった。

◆ハーフタイムで明暗が分かれた

アンチェロッティ監督はこの戦術を事前に考えていたとコメントしたが、あくまでも脳内だけにとどめ、事前のトレーニングには取り組んでいない戦術だったように思う。推察だが、プライドの高いスター選手たちがあの戦術を受け入れることは想像し難い。おそらくハーフタイムで伝えたのだろう。最小限の手で最大の効果を生み出して実行させたアンチェロッティ監督の手腕には感服である。もちろん、わずかな時間での役割変更を正確に実行したブラジル代表の能力は言うまでもなく称賛に値する。そもそも個で勝るブラジルの選手たちが優れた戦術を愚直に実行すると、強度は倍増するとあらためて実感させられることになった。

まるで圧倒的な差があったかのように説いたが、実際は紙一重だったのではないか。正攻法でうまくいっていたのは間違いなく日本のほう。具体的に明かしてはいないが、森保一監督は勝利を手にするための奇策は用意していたと思われる。その中で勝敗を分けたポイントのひとつがタイミングだったといえる。

アンチェロッティ監督はハーフタイムにプランBへの移行を選手たちに伝えている。仮に日本が先制していなければ、後半も引き続きプランAだったはずだ。たらればが禁物なことはわかっているが、仮に日本の先制点が後半だったとしたら、日本は負けなかったかもしれない。ブラジルの選手がいくら優秀とはいえ、事前トレーニングのない戦術への移行はすぐにはできない。しっかりと理解させるには、ハーフタイムの15分間が最低限必要だったのではないか。

そもそもアンチェロッティ監督も、プランBは極力使いたくなかったはずだ。なぜなら諸刃の剣となり得るリスクの高い戦術だからだ。最終ラインのセンターバックまでが相手陣内に入り込む前がかりな戦術で、最終ラインの背後に広大なスペースが生まれるものだからだ。実際に後半に入ってから防戦一方だった日本が後半9分にカウンターから決定機をつくり出した。これがプランB時のブラジルが最も恐れるかたちで、日本はいかにこの攻撃を再現するかの勝負になった。再びたらればになるが、終わってみればあの好機を決めきれていればと思わずにはいられない。

リスクの高い戦術を使わざるを得ないところまでブラジルを追い込んだことは間違いない。


配信元: 日刊SPA!

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