◆なぜ歯ぎしりをするのか? 最大の原因は「ストレス」

歯ぎしりや食いしばりはストレス発散の役割を担っているのではないかという説もあります。つまり、本人は全く自覚がなくても、寝ている間に歯を強く噛み締めることで、無意識のうちにストレスを処理しようとしている可能性があるのです。そのため、「歯ぎしりをやめよう」と意識するだけでは改善はなかなか難しいものです。むしろ問題なのは、本人が気づかないまま何年も続いてしまうことです。
実際に歯科医院でも、仕事が忙しい管理職や経営者、責任ある立場で働く人ほど、歯のすり減りや食いしばりの痕跡が見られることがあります。頑張る人ほど歯を失うリスクを抱えている。そう考えると、歯ぎしりは単なる癖ではなく、現代人のストレス社会を映し出すサインなのかもしれません。
◆歯科医院で見つかる意外なサイン
歯ぎしりや食いしばりの厄介なところは、本人に自覚がないことです。家族からの指摘で歯ぎしりに気がついた患者さんもいますが、食いしばりは音がしないのでなかなかご自身では気づけません。知覚過敏や、歯の根元部分の欠けなど、はっきりとわかる状態でないと気がつきづらいのです。実際、「歯ぎしりなんてしたことがありません」と話していた患者さんでも、お口の中を診ると明らかな痕跡が見つかることは珍しくありません。歯科医はお口全体から「夜間の犯行の証拠」を探すプロでもあります。読者の皆さんも、今すぐインカメラや洗面所の鏡で、ご自身のお口の中を“ガサ入れ”してみてください。以下のような「足跡」が残っていませんか?
・歯の先端が平ら
本来丸みのある部分が削れていたりすると、長期間にわたり強い力が加わっていた可能性があります。
・白い一本線(咬合線)
頬の内側に横一線の白い筋。これは歯と頬が繰り返し擦れることでできる圧痕で、「昼夜問わず、歯を噛みしめ続けている」無言のサインです。
・ギザギザの舌
舌のフチが波打ってギザギザしている人。これも舌が歯にギチギチに押し付けられ続けられている証拠で、食いしばりが強い人によく見られます。
・謎の骨のコブ(骨隆起)
歯ぐきの近くに、ボコッと硬いコブはありませんか?強い力に耐えかねた顎の骨が、生き残るために独自にビルドアップしてしまったマッチョな骨の塊です。
また、むし歯がないのに詰め物や被せ物が頻繁に外れたり欠けたりする場合も、歯ぎしりが背景に隠れていることがあります。患者さん自身は気づいていなくても、お口の中には日々の痕跡が残っています。歯科医院では、こうした小さなサインから歯ぎしりや食いしばりの有無を推測することができるのです。特に、こうしたサインは本人が気づく前に進行していることも多く、定期検診で初めて指摘されるケースも少なくありません。

