知らぬ間に数十万円の出費も…睡眠中の歯ぎしりが招く“歯の破産”

知らぬ間に数十万円の出費も…睡眠中の歯ぎしりが招く“歯の破産”

◆今すぐできる3つの対策

歯ぎしりや食いしばりは、意識だけで完全になくせるものではありません。しかし、歯へのダメージを減らすためにできることはあります。

①日中の食いしばりを意識する

実は上下の歯は、「普段から接触している状態」が正常ではありません。会話や食事をしていないとき、上下の歯の間にはわずかな隙間があるのが自然な状態です。しかし、仕事中やスマートフォンを見ているとき、運転中などに無意識で歯を接触させている人は少なくありません。

このような状態は「歯列接触癖(TCH)」と呼ばれ、歯や顎の筋肉に負担をかける原因になります。まずは日中、「今、歯が当たっていないかな?」と意識するだけでも大きな一歩になります。日中の歯や顎の負担を軽くすることから始めてみましょう。

②睡眠環境を見直す

歯ぎしりや食いしばりにはストレスや睡眠の質が関係していると考えられています。過度な飲酒、睡眠不足、疲労の蓄積は、歯ぎしりを悪化させる要因になることがあります。忙しい毎日を送る人ほど難しいかもしれませんが、寝る直前までスマートフォンを見る習慣を見直したり、十分な睡眠時間を確保したりすることも大切です。歯を守るためには、お口だけでなく生活習慣全体を整える視点も必要なのです。

また、睡眠時の姿勢や寝具の影響が指摘されることもありますが、まずは睡眠環境全体を整えることが大切です。照明の明るさを見直す、アロマを用いてリラックスをして寝るのも効果的かもしれません。

③ナイトガード(マウスピース)を活用する

歯ぎしりによる数万〜数十万円の破壊から歯を守る、最強の防具。それが歯科医院で作製する「ナイトガード(マウスピース)」です。「オーダーメイドだし高そう……」と思われるかもしれませんが、実は保険適用で3,000円〜5,000円程度(3割負担の場合)で作れます。数万円〜数十万円のセラミックを粉砕されるリスクを考えれば、これほど投資対効果の高い「盾」はありません。最もコスパの良い自己投資と言えるでしょう。

◆歯ぎしりは「音」ではなく「歯の寿命」の問題

歯ぎしりや、食いしばりの怖い所は、歯を割るほどの激しい力が無意識にかかってしまうところです。せっかくむし歯や歯周病を防げていても、歯ぎしりによって歯を失ってしまえば、その努力が十分に報われないこともあります。

ストレス社会を生き抜くビジネスパーソンにとって、ストレスをゼロにするのは不可能です。あなたの歯のすり減りは、日中必死に戦っている勲章のようなものかもしれません。しかし、代わりに大切な歯や財産(治療費)を失ってしまっては元も子もありません。

朝起きたときのアゴのだるさは、体が発している「もう限界!」のサインです。ぜひ一度、その戦いの痕跡を見せに、歯科医院にへ足を運んでみてくださいね。

<文/野尻真里>

【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari
配信元: 日刊SPA!

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