◆吉田正尚は苦しい立場に…
一方で、最も厳しい立場に立たされているのが吉田正尚(レッドソックス)である。打率.264を残したものの、3本塁打、OPS.725と指名打者としては長打力を示せなかった。守備で出場機会を広げることも難しい立場で、指名打者として起用されるには「まずまず」では足りず、打ち続けてアピールするしかない。
前半戦は成績そのものより、十分な打席を与えられない立場が重くのしかかった。後半戦で必要なのは復調の気配ではなく、起用せざるを得ないほどの結果である。チーム内での序列を覆す猶予は、それほど多く残されていない。
日本人打者5人の前半戦は、成績だけでなく、置かれた立場と評価の変化もくっきり分かれた。
前半戦の最優秀打者を1人だけ選ぶなら、OPSで両リーグ5位に入った大谷になる。それでも、開幕前から最も評価を上げたのは岡本和真だろう。序盤の苦戦を乗り越え、「メジャーでも本塁打を打てるのか」という最大の疑問へ22本塁打で答えを出した。
期待を背負いすぎた大谷、期待と不安を同時に膨らませた村上、求められた役割を果たした鈴木、期待に応える場所さえ限られた吉田。その中で岡本が、開幕前に付けられた疑問符を感嘆符へ変えた。5人の明暗がくっきり分かれた前半戦だった。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

