◆仕事中にドラフト1位指名を受ける
日本シリーズ終了後、11月20日前後に行われていた当時のドラフト会議。石毛は、運命の日を職場で迎えていた。「いつもと同じように、職場で仕事中でした。支配人がやって来て、『石毛、決まったぞ』と。『どこですか?』と聞いたら『西武だ』って。決して『やった!西武だ!』という感じではなく、『西武ですか?』みたいなトーンでしたから(笑)
いざ指名されると、今度はメディアが来るじゃないですか。仲間に肩車をしてもらってガッツポーズをしてみたり、新聞の絵になるようなことをするわけです。表面上はニコニコしていましたが、納得して指名を受けたわけではないですしね。
でも、やるからには負けたくないし、上手くなりたいなと思っていただけです。高校、大学、社会人と野球を続けてきたなかで、監督や先輩に怒鳴られ、時には手が飛んでくるわけですからね。二度も三度も言われたくないなと思って頑張った結果、西武からの1位指名だったんでしょうね」
プロ野球選手になるつもりは全くなかったという石毛。“無欲”でいること、評価や結果への執着を手放すことが、かえって周囲の協力やアイディアを引き寄せて成功へつながることもあるという。また、家族や恩師とのエピソードから伝わってくるのは、石毛が持つ“人情や懐の深さ”。常勝チームを束ねたリーダーシップの一端を垣間見た気がした。
<取材・文/浜田哲男>
【浜田哲男】
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton

