◆菅野智之は打者有利の本拠地で奮闘
一方、数字だけでは評価しにくい前半戦を送ったのが菅野智之(ロッキーズ)だった。腰のけいれんで前半戦の最後に負傷者リストへ入ったものの、16試合に先発して8勝4敗、防御率4.80。84回1/3で23四球と、制球を乱すことなく試合をつくった。
本拠地クアーズフィールドは、標高の影響もあって打者有利とされる。そうした環境を本拠地とするチームで前半戦8勝を挙げた価値は、防御率だけでは測り切れない。
球速で押し切らず、コースと緩急で打者の狙いを外す。力で勝負できないのではない。力だけで勝負しないから、メジャーでも生き残れている。
前半戦終盤には崩れる試合もあったが、2桁勝利は射程圏内だ。腰の状態が戻れば、後半戦もベテランらしく勝ち星を積み重ねるだろう。
◆日本人投手5人の現在地と後半戦の注目ポイント
主な日本人投手の前半戦は、期待との距離がくっきり分かれた。大谷は先発投手としての完全復活を示し、山本はエース級の安定感を見せた。佐々木は才能と危うさを同時にさらけ出し、今井は球威を結果へつなげられなかった。菅野は、打者有利の環境でも経験が武器になることを証明した。
前半戦の最優秀投手を選ぶなら、大谷か山本か。山本の安定感も捨て難いが、防御率は大谷が1.79、山本が2.85。1点以上の差を無視するわけにはいかず、今回は大谷に軍配を上げたい。
ただし、後半戦の注目は大谷一人ではない。
山本は自己最多勝利を更新し、サイ・ヤング賞争いへ戻れるのか。佐々木と今井は、不調時にも試合を壊さない投球を身に付けられるのか。菅野は腰の不安を乗り越え、二桁勝利へ届くのか。
期待を超えた投手もいれば、宿題を抱えた投手もいる。その答えを出す後半戦は、もう始まっている。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

