そんな西尾氏は現在、埼玉県三郷市の市議会議員を務めている。芸人から議員へ。どんな思いを持って政治の世界に飛び込んだのか。本人の口から転身の真意を語ってもらった。

◆三郷市で選挙に出るまでの経緯は…
――西尾さんは2025年夏の三郷市市議会議員選挙で当選されたわけですが、三郷市にはどんなゆかりがあったんですか?西尾:2020年から三郷市に住んでるんですよ。ボキャブラ以降はずっと仕事が少なく、コロナで追い打ちをかけられました。やむをえず家賃の安い場所を探し、たどり着いたのが三郷でした。
――2023年の夏にも西尾さんのインタビューをさせてもらっています。その時に、先々の展望を伺いましたが「市議会議員」の話題は出てきませんでしたが。
西尾:実は、前回のインタビュー前にも、三郷で縁があった方に「市議会議員をやってみない?」と誘われていたんです。でも、とても自分が議員になれるとは思えず。念のためマネージャーに相談してみると、「市議会議員になる場合は事務所をやめないといけない」とのことで……。その時点ではお断りしていました。
――しかし、今は市議会議員です。心変わりのきっかけはどこにあったんですか?
西尾:経済的に厳しく、バイトをしないといけない状況になってきたときに、近所に「放課後デイサービスのパート募集」が掲示してあるのを見かけたんです。よく読むと、障がいを持つ子どもたちの学童のような施設で。子どもが好きだったこともあって応募してみたら、採用していただきました。学校を終えた子どもたちと、2時間半くらい見守りながら一緒に遊ぶような仕事です。勉強を教えたりするのではなく、晴れた日は一緒に公園に行ったりして自由に遊んでもらうような。
――その仕事がきっかけということは、障がい者支援に課題を感じたんですか?
西尾:そんなに大それたことではないんですけどね。一緒に過ごしていると、子どもたちへの親近感が強くなっていきました。並行して「この子たち、将来はどうするんだろう」と思いが芽生えて。当時、障がいを持った子どもをテーマにした『ライオンの隠れ家』(TBS系列)というドラマが放送されていたんですけど、劇中で「僕たちはいずれ、ひとりになるんだよ」というセリフが印象的だったんです。
――社会との接点をどう持つかという点ですね。
西尾:いろいろ調べたものの、現状十分に用意されているとは言えないと感じたんです。そこで、以前に声をかけていただいた方に連絡をとって「あの子たちのために、市議会議員ができることってあるんですかね?」と相談したのがスタートです。
◆青天の霹靂で、事務所を辞めずに済んだ

西尾:さがねには、選挙に出ることを決めてから相談しました(笑)。
――それ、相談じゃなくて報告ですよ(笑)。
西尾:僕が事務所を辞めるとなっても、今はコンビで事務所が違う例もあるから、その形で行こうかと話しました。
――数年前までのロンドンブーツ1号2号や、令和ロマンなどがその例ですね。
西尾:ただ、さがねは「西尾が辞めるなら俺も辞める」と聞かなくて。
――コンビとして一蓮托生の絆が感じられますね。その他、誰に相談されましたか?
西尾:ずっと仲良くしている古坂大魔王に話しましたね。
――古坂さんはその相談にどう答えられたんですか?
西尾:「面白いじゃん!絶対にやったほうがいいよ!」と即答したんです。それが、最後の決心につながりましたね。
――いざ出馬に向けて動き出すわけですが、事務所を辞めないといけないんですよね。
西尾:マネージャーが事務所の上層部に相談したところ、数週間後に「立候補しても辞めなくてよくなりました」と理解を示してくれて。ありがたかったですね。
――西尾さんが長年信頼を積み重ねてこられた賜物ですね。
西尾:ただ、こんな話もあるんです。実は、市議会議員選挙と同じ日に参議院選挙がありました。そこにホリプロ所属(西尾氏は同グループのホリプロコム所属)で明石市の市長だった泉房穂さんが出るという話になっていて。マネージャーは「泉さんを残したいから、西尾さんだけ辞めさせられなかったんじゃないですか」とほほを緩めていました(笑)。マネージャーがそんなこと言うな!と(笑)。
――ひどい(笑)。ですが、事務所に残ったという事実はありますからね。
西尾:懐の深さとご理解に感謝ですよ。

