小口化不動産による節税は認められない
不動産の小口化商品は、通常の不動産に比べ金融資産に近く、売却も容易であったにもかかわらず、相続税の節税商品として多数取引されていました。
小口化された貸付用不動産は時価で評価
不動産特定共同事業契約または信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定のものに基づく権利の目的となっている貸付用不動産(いわゆる「商品として小口化された貸付用不動産」)については、令和9年1月1日以後の相続・贈与から、その取得の時期にかかわらず、通常の取引価額に相当する金額によって評価されます。
これによって、不動産小口化商品を取得することによる節税対策は封じられたことになります。
「通常の取引価額」はどう決まる?
「商品として小口化された貸付用不動産」の通常の取引価額は、課税上弊害がない限り、次のいずれかによることができることとされています。
①出資者の照会等により、販売会社等から提示される適正な処分・買取価格等
②販売会社等が把握している適正な売買実例価額
③定期報告書等に記載された不動産の価格等
なお、上記①から③に該当するものがない場合には、「課税時期前5年以内に取得等した一定の貸付用不動産の評価見直し」のルールに準じて評価します。
対象となる「小口化不動産」とは
「商品として小口化された貸付用不動産」とは、不動産特定共同事業契約(任意組合型・賃貸借型)または不動産信託受益権に係る金融商品取引契約(信託型)に基づく権利の目的となっている一定の不動産をいいます。
令和9年から適用、実務上は今後の通達にも注目
実務にあたっては、今後の通達の動向に十分留意する必要があります。
①取得時から課税時期までの地価変動の影響等を加味するとされているが、土地価額下落時の減算のみならず、上昇時にも加算するのか。
②土地の借地権および賃借権、建物の借家権は通常の取引価額から控除できるのか。
③駐車場や貸地として利用している土地等も貸付用不動産に含まれるのか。
④しんしゃく割合0.8を乗じて計算する場合、建物は減価償却後の価額に対して適用するのか。
⑤令和9年1月1日以後の相続等から適用するとされているが、その日以前の贈与・相続等の場合には財産評価基本通達総則6項の適用はどうなるのか。
⑥今回の改正は個人が対象だが、法人が取得した貸付用不動産の評価については従前どおりとされるのか。
今仲 清
株式会社経営サポートシステムズ代表取締役
坪多 晶⼦
税理士法人トータルマネジメントブレーン主宰
畑中 孝介
株式会社ビジネス・ブレイン代表取締役
島村 仁
税理士法人むさしセントラル代表社員
