65歳の切り替え手続きが“未完了”だった
洋子さんが受け取っていたのは、あくまで「特別支給の老齢厚生年金」であり、65歳以降に受け取る年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)とは別物です。特別支給の老齢厚生年金を受けている人が65歳になった場合、新たに年金請求書の提出が必要になります。
封筒を開けると、年金請求書と説明書類が入っており、提出期限はすでに過ぎていました。
「これを出していなかったから、振り込まれなかったんですか」「その可能性が高いです。ただ、最終確認は年金事務所で行いましょう。今日は窓口で聞くことと、持っていく書類を整理しましょう」
そして、年金事務所に確認する項目を3つに絞りました。
1.65歳時の年金請求書は未提出か
2.提出期限を過ぎた場合、どの月分から支給対象になるのか
3.初回振込はいつ頃になる見込みか
これで一つの悩みが解消された洋子さん。しかし机の上に残った書類を見ると、解決すべき問題はそれだけではないことがわかってきました。
28万円は“2ヵ月分”…年金振込の落とし穴
「洋子さん、もう一つ整理しておきたいことがあります。年金が予定どおり入ったとして、その金額でその後の生活に問題ないか、チェックしませんか」
そういうと洋子さんは、口ごもりながらいいます。「28万円入れば、なんとかなると思っていたんですが」。
「いままで年金が入った翌月に、少し不安になることはありませんでしたか」。筆者がそう聞くと、洋子さんは苦笑いしました。
「あります。今月は大丈夫と思って使ったら、次の月に病院代や電気代が重なって、結局貯金から出すことがありました」
年金は、支払額がそのまま自由に使えるお金とは限りません。介護保険料や住民税、所得税などが差し引かれるほか、年金は原則として2ヵ月分がまとめて振り込まれます。通帳にまとまった金額が入ると、その月は余裕があるように思えますが、翌月は年金の入金がないのです。
この点、洋子さんは通帳に入った金額をその月の収入として捉えていたようです。
そこで、筆者は洋子さんと、年金が入った月に安心しすぎない仕組みをつくることにしました。2ヵ月分の年金が入ったら、半分は翌月分として残す。固定資産税や火災保険、医療費が増えた月に備える分は、生活費とは別に置いておく。医療費の領収書や生命保険料控除証明書は、年末に慌てないよう1つのファイルにまとめる。それだけでも、残高の減り方は変わります。
また、これを機に生命保険についても、保障内容と保険料を一覧にしました。年金生活に入る以上、保険で備える部分と、預貯金で対応できる部分をわけて考える必要があったからです。
一連の見直しを終え、洋子さんは言いました。
「私、年金が増えることばかり考えていました。増えた分をどう使うかまでは考えていなかった」
