◆「調子に乗るじゃない!」と思っていたが…

「すると、ベテランスタッフが『何をおっしゃいます? 時間内に来ていただいているので、まったく問題ないですよ』と驚いた様子で返したのです。私は『そんなこと言ったら、調子に乗るじゃない!』とイライラしながら、2人の会話に耳を澄ましていました」
そして玲奈さんは、このあと予想もしていなかったSさんの事情を耳にすることになる。Sさんは、ベテランスタッフの言葉に「そう言っていただけると、救われます。私たち肉体労働者は仕事のあと、自分でも嫌になるぐらい汗臭くなるんですよね」と返したのだ。
「続けて、『とくに、この暑い季節は気を遣います。だから、時間的にお風呂に入ってからでも通院できるこの病院は、すごくありがたいです』とも言ったのです。そこではじめて、Sさんが私たちスタッフに配慮してくれていたことを知りました」
◆申し訳ない気持ちでいっぱい

「これこそ、想像力の欠如だと反省しました。自分の帰宅時間のことばかりを考え、もしかしたらSさんに何らかの事情があるかもしれないと想像できなかった自分が恥ずかしいです。このことがあってから、想像力を働かせるよう意識するようになりました」

<取材・文/夏川夏実>
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