◆後輩から「プライドないんですか?」と言われたことも

佐々木:少年のリンチ殺人事件を捜査していたときのことです。事件を立証するために必要な16歳の少年から話を聞かなければならなかったのですが、約束しても逃げられてしまって……。ようやく少年が住んでいる近くのマクドナルドで会ってもらえたとき、相手は悪態をつきながら私を呼び捨てにしてきました。
当時一緒に組んでいた23歳の後輩巡査は、そのことにイライラしていまして。取り調べ中にその巡査がいると状況が悪くなると思い、一旦その巡査に外に出てもらって、私一人で話を聞くことにしました。必要な情報を聞き終えて帰るとき、後輩巡査が「佐々木さんはプライドがないんですか?」と言ってきたんです。
そのとき私は「ここで相手に意地を張っていたら、情報はもらえなかった」ということを伝えました。私たちは被害者遺族のためにやっている。個人のプライドでやっているわけではないんです。
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佐々木氏の刑事人生には、この取り調べの哲学さえ揺るがす大きな転機があった。被害者遺族からかけられた忘れられない一言、そして40歳で警察を辞めた理由とは——。
後編では、現在も貫く「犯罪を生まない環境づくり」への思いに迫る。
取材・文/セールス森田
【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

