富裕層の海外移住検討が広がる可能性
ミニマムタックスの強化により、所得税率が低くキャピタルゲイン課税がない海外拠点への移住を検討する富裕層も増えているように思います。日本は相続税も高税率ですから、贈与・相続税のない国への移住を検討するケースも多く、最近ではシンガポールやマレーシアなどへの移住を検討する富裕層が多いのではないでしょうか。こうした富裕層の移住先は住環境・教育環境も整っており、富裕層はそのあたりも含め、総合的に実際の移住先を選択していることが窺えます。今後、富裕層課税を強化するトレンドが続けば、富裕層の海外流出がさらに進むことになるかもしれません。
以下では、海外移住者が留意すべき、現在の日本の税制について触れておきます。
日本における相続税・贈与税の納税義務者
贈与・相続税に関して、日本における納税義務が生じないためには条件があります。
被相続人と相続人(または受贈者・贈与者)のいずれかが日本国内に住所があれば「無制限納税義務者」として、国内財産、国外財産のすべてが課税対象になります。一方、相続人・被相続人(または受贈者・贈与者)ともに「制限納税義務者」の条件を満たせば、相続(贈与)時に課税される対象は日本の財産のみとなります。
この制限納税義務者と認定されるには、相続人・被相続人(または受贈者・贈与者)のいずれもが、10年以上外国に在住していることが必要です。
2カ国以上に生活がまたがる場合の住所は、住居や国籍、職業、資産の所在、親族の居住状況といった客観的事実に基づいて総合的・実質的に判断されることになります。単に年の過半(183日間以上)海外で過ごせばよいという単純な話ではありませんので、注意が必要です。
なお、この10年という期間は2017年の税制改正で以前の5年から延長されたものです。今後の税制改正によってさらに期間が延長されるようなことがあれば、計画が大きく狂ってしまうリスクがあるといえるでしょう。
なお、10年以上海外に居住した場合でも、前述の通り日本国内の財産に対しては相続税・贈与税が課されるので注意が必要です。
