資格がなくても医療現場を変えられる。30代で医療事務になり、職場改善まで果たした女性の話

資格がなくても医療現場を変えられる。30代で医療事務になり、職場改善まで果たした女性の話

資格がなくても医療に携わって、感動を届けたい

──Hさんは医療事務の仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?

医療に携われるのは、学校に通って資格を取る必要がある職種ばかりですよね。でも医療事務は、無資格や未経験でも医療に携わることができて、「誰かのためになっている」と感じられます。それがすごいことだと思っていて、やりがいにもつながっています。

──仕事をするうえで、いつも心掛けていることはありますか?

私は、相手の期待を超えたサービスを提供できたときに、感動につなげられると思っているので、いつも少しだけ“足す”ことを意識しています。

たとえば、毎日大勢の患者さんを見送っていると機械的な「お大事にどうぞ」になりがちです。でも、どんなに忙しくても、目を見て笑顔で「お大事になさってください」とお辞儀をして伝えるようにしています。長い待ち時間や診察で疲れたあとに、少しでも穏やかな気持ちで帰っていただきたいからです。

ちょっとしたエピソードなんですけど……総合病院に勤めていたとき、当時の課長が私の仕事ぶりを評価してくれ、本来は正職員だけが担当する朝礼の挨拶を私に任せてくれたことがありました。派遣の私でも認められた気がして、少し誇らしかった出来事です。

医療事務Hさん 取材中の様子
「『会計や見送りの姿勢がすばらしいから』と言って任せてもらえて、うれしかったです」

──それではここからは、これから医療事務として働く方が抱きやすい質問をしていきます。まず、医療事務になるうえで、資格や経験はあったほうがいいと思いますか?

資格がなくても始められる仕事ですが、あったほうが有利な場面もあると思います。実際、私の勤めていた総合病院で正職員になるには、医療事務の資格が必要でしたから。

とはいえ、私自身は無資格・未経験で始めましたし、眼科クリニックで私のあとに入職した医療事務の2人も未経験でした。経験者だと以前の職場でのやり方にこだわってしまう人もいるので、当時の院長も「未経験のほうがいい」とよく話していました。

──「未経験のほうがいい」は意外でした。ではHさんの経験者としての転職は不利だったということですか?

経験者であることのアピールはしませんでしたね。面接では、自分にとって初めての診療科で学び、経験を積みたいということを主に伝えていたと思います。

──アピールポイントを変えるんですね。続いて、受付に立つ場合、時にクレームを受けることもあると思いますが、どう対応すればいいですか?

たぶん想像される以上に理不尽なクレームって少ないです。もし「待ち時間が長い」って不満を言っている人がいても、それは当然のことで、私はクレームとは思いません。どうしたら待ち時間を短くできるか改善方法を考えるべきだと思います。

そういう方には、何に不満を感じているのか、話を最後まで聞くことを大事にしています。それだけで落ち着いてくださることも多いですね。

──会計や算定業務などで数字を扱うことが多いですが、数字や計算に苦手意識がある場合はどうでしょう?

計算はレセコンがしてくれるので、計算スキルは必要ないと思いますよ。以前システムの不具合で手計算したことはありますが、過去に一度だけです。

──では、医療事務に興味がある方に向けて、一言いただけますか。

もし興味があるのなら、一度は挑戦してみてほしいです。とりあえずやってみて、ダメだったら次に行けばいいですし、いい職場に出会えればきっと長く続けられる仕事だと思います。

──Hさんも、今後も変わらず医療事務を続けていきますか?

そうですね、まずはいまのクリニックでのデジタル化を進めて、医療事務としての経験を積んでいくことが当面の目標です。

もっと先の話ですと、今後ますます在宅医療の需要が増すので、そういった方々を支える訪問介護の領域にも関心があり、いつか挑戦するかもしれません。

──介護業界へ挑戦される際は、ぜひまた話を聞かせてください。本日はありがとうございました。

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