【7月の金市場】6月は“短期的な逆風”も、コロナ禍以降続く“長期的な追い風”に変化なし…世界の中央銀行の戦略的買いが「5,000ドル突破」のカギに

【7月の金市場】6月は“短期的な逆風”も、コロナ禍以降続く“長期的な追い風”に変化なし…世界の中央銀行の戦略的買いが「5,000ドル突破」のカギに

6月の金市場はドル高や利下げ期待の後退で短期的な逆風となり、金ETFから53億ドルが流出し、価格も11.7%下落しました。一方で、世界の債務膨張、中国・新興国の強い実需、株式と債券の高い相関など、コロナ禍以降の長期的な追い風に変化はありません。本稿では、金価格を左右する主要要因を整理するとともに、7月の金相場と今後の見通しをみていきましょう。※なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

ドル高、利下げ後退…6月の金市場に吹いた「短期的な逆風」

6月の金の買い(ロング)ポジションは苦戦しました。金を保有する際の機会費用の上昇や、ドル高が投資家心理を圧迫したためです。金のスポット価格は11.7%下落し、断続的に1オンス当たり4,000ドルのサポートラインを試す展開となりました。

これに対し、銀が22.2%、ビットコインが20.4%、先物の期間構造を考慮しないコモディティ価格は9.2%下落しました。リスク調整後のパフォーマンスを見ると、金は銀、ビットコイン、コモディティのスポット価格をアウトパフォームしました。

米国上場の金上場投資信託(ETF)の資金フローは、4月、5月は比較的均衡していたのに対し、6月には解約によって約53億ドルの資金が流出しました※1。

米国の翌日物金利スワップ(OIS)カーブは直近で今年約1.5回の利上げを織り込んでいるのに対し、2月時点では今年2〜3回の利下げを織り込んでいました※2。これは年限をまたいで実質金利を押し上げ、米国マネー・マーケット・ファンド(MMF)の資産残高は過去最高の7.9兆ドルに達しました※3。

米ドルが買いを集めています。3月から6月のイラン紛争の期間中、金は対米ドルで、米国を除く主要10ヵ国通貨に比べ約2.6%ポイント、アンダーパフォームしました※4。

ブレント原油価格は米国とイランが停戦を維持する可能性を受けて、当社の1バレル当たり80ドルの目標価格を下回っているものの、金利トレーダーは依然として米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めを実施すると予想しています。回復基調の米国の労働統計や、FRBのウォーシュ議長が2%のインフレ目標を掲げていることから、短期的には再利下げが遠のいているとみられます※5。

コロナ禍以降の「構造的な追い風」には変化なし

2024〜2025年に比べれば不安定な推移となっていますが、当社は金の上昇サイクルが続くと考えています。FRBがタカ派に転じたとしても、コロナ禍以降の金に対する構造的な追い風は変わらないはずです。

世界の債務残高は2026年上半期に、過去最高の353兆ドルに膨らみました。重要なのは、政府部門の債務が急速にその3分の1に近づき、これも過去最高という点です※6。積極的な財政運営とインフレ圧力は、金の通貨ヘッジ手段としての需要を引き続き支えるはずです。

株式と債券の相関度は、1990年代後半〜2021年までの約25年間に比べると依然として、高水準が続いています。2025〜2026年にかけて相関度はやや低下したものの、アセットアロケーション担当者にとって、流動性の高い分散投資需要は、今後も引き続き検討すべき重要項目であると予想されます※7。

金の実需は底堅く、特に中国の個人投資家や、新興国中央銀行からの旺盛な需要に変化はありません。イラン紛争以降、中国の個人向け金輸入は急増し、国内プレミアムも上昇しています。これは、根本的に中国国内の金需給が逼迫していることを示唆しています※8。

世界的なミューチュアルファンド(MF)およびETF資産に占める金の保有比率は、1%を下回っています※9。これは、当社がほとんどのポートフォリオで推奨する戦略的な目標比率の3〜10%を大きく下回っています。

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