今後半年~9ヵ月で金価格は「4,750〜5,500ドル」まで上昇か
当社は、今後6〜9ヵ月で金価格が1オンス当たり4,750〜5,500ドルまで上昇する可能性が高いとみています(基本シナリオ、確率70%)。一方で、短期的には弱気の逆風が強まっており、金価格が4,000〜4,750ドル前後にとどまる可能性も高まっています(確率25%)。
3,750〜4,000ドルには強固なサポートラインがあるとみていますが、5,500〜6,250ドルに達する可能性(強気シナリオ、確率5%)は、1〜2月のマクロ環境に比べると低くなっています。
[図表1]今月のチャート:北米、アジア、中国における金ファンドへの資金フロー(2022~2026年上半期、単位:10億ドル)★1
欧米の投資家は金を売り、中国の投資家は金を買う
北米の投資家は4ヵ月で187億ドルを売却する一方、中国は年初来59億ドルの資金流入
金価格を左右する力学が2023年下半期〜2026年第1四半期の安定した強気トレンドから変化するなか、2026年以降、3〜6月の金売りに伴い、地域ごとのファンドへの資金フローには乖離がみられます。
1〜2月には季節的に過去最大となる115億ドルの資金流入がありましたが、北米の投資家はその後4ヵ月間に187億ドルを売却しました。しかし、中国では年初来59億ドルの資金が流入しています。
アジア全体のファンドへの資金フローと合わせ、2026年上半期にアジア地域の買いは合計約126億ドルに達しました※10。これは、イラン紛争時に欧米投資家が見せた資金引き揚げを拡大させる動きをいくらか緩和しています。欧米投資家は、主要4ヵ国の中央銀行がタカ派に転じたことを、引き続き警戒している可能性があります。
中国・アジアの約36億ドル売却は“一時的な調整”か
中国を含むアジアの金ファンド投資家は、5月下旬から6月にかけ、合計約36億ドルを売却しました。しかし、これは一時的な巻き戻しにすぎないのでしょうか。
中国の国内金価格のプレミアムは6月に平均1.0%となり、2025年4月の「解放の日」直後以来の高水準に達しています。これは、2025年後半にアジア向け金ファンドへの流入が総額147億ドルに達する急回復に先行する動きでした※11。
たしかに、中国本土への外貨準備以外の金の輸入は第2四半期に急増し、4月は前年同月比25%増の160トン、5月は同63%増の163トンに急増しました。これは、イラン紛争と原油価格ショックが始まった3月に、金の輸入が同120%増と急拡大した延長線上にあります※12。
依然として底堅い中国の金実需
中国の国内金価格のプレミアムが上昇しているものの、ETFの大量の買いには依然としてつながっていません。ただし、国内の実需は依然として底堅く、今後の強さを示唆している可能性があります。
当社は、中国がけん引するアジア全体の買いの動きは金価格を1オンス当たり4,000ドル前後で支え、2026年下半期には4,500〜5,000ドルに押し上げる可能性があるとみています。これによって、欧米のファンドへの資金フローは4〜5月前半の水準で安定するでしょう。
[図表2]各国中央銀行は金準備高が今後12ヵ月にわたり増加すると予想★2
