「頼むから卒業してくれ」…ひとり息子の〈東大現役合格〉に歓喜した夜から7年。在学費用800万円超、“いまだに大学生”でも62歳父が「退学しろ」と言えない理由【CFPが助言】

「頼むから卒業してくれ」…ひとり息子の〈東大現役合格〉に歓喜した夜から7年。在学費用800万円超、“いまだに大学生”でも62歳父が「退学しろ」と言えない理由【CFPが助言】

「退学したらどうか」とはいえない…複雑な本音

授業料(入学金含む)や教科書代、家賃や光熱費、生活費などの仕送り、そして帰省費まで。この7年で亮太さんに投じた金額は800万円に達していました。

「国立なので学費は私立より安い。それでも一人暮らしなので仕送りが高くて……。本当に厳しい状況です」

武さんは年収350万円、将来受け取れる年金は夫婦合わせて月約27万円の見込みです。武さんの退職金も500万円程度と多くはありません。現在の貯蓄は、5年前に公務員を退職した妻の退職金の残り約500万円のみです。

決して余裕があるわけではない中、家賃を払い、生活費を送り、学費を負担し続ける日々。好きなことに夢中になっている息子を応援したい気持ちもありましたが、自分たちの老後も守らなければなりません。

「もう退学させたほうがいい」――そんな思いもよぎりました。しかし、「東大中退」と「東大卒業」はまったく違います。東大への進学率は0.3%ともいわれます。そんな狭き門をくぐって、日本一の大学に入った自慢の息子。きちんと卒業して、人並み以上の仕事についてほしい。そんな本音もありました。

さまざまな思いを抱えながら、武さん夫妻は「親としてどこまで支援すべきなのか」という重い問いに向き合うことになったのでした。

「子どもの夢」と「親の老後」…どこで支援に区切りを付けるべきか

近年は晩婚化や大学院進学者の増加などを背景に、親が定年を迎えても子どもがまだ学生という家庭は珍しくありません。

そのうえ、文部科学省「学校基本調査(令和7年)」では、大学(学部)卒業者の12.7%が大学院等へ進学。特に理系学部では大学院進学を選択する学生も多く、学生生活が長期化するケースも少なくありません。さらに、留年などによって標準修業年限を超えて在学する学生も一定数存在します。

もちろん、夢中になれるものを見つけること自体は決して悪いことではありません。実際、有名大学へ進学した後、自分の本当にやりたい仕事を見つけ、退学して起業したり、スポーツや芸術などの世界で活躍したりする人もいます。

しかし、その場合は「親の支援を受け続けること」とは切り離して考える必要があります。今回のケースのように、モータースポーツへ人生を懸けたいのであれば、大学を休学する、あるいは退学し、自ら働きながら競技を続けるという選択肢もあります。大学生は法律上も社会的にも大人です。夢を追う自由がある一方で、その結果について責任を負うのも本人です。

また、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度では、学業成績が著しく不振となった場合、奨学金が打ち切られたり、貸与終了後だけでなく在学中でも返還を求められたりする場合があります。学業がおろそかになれば、将来だけでなく現在の生活にも影響を及ぼしかねません。

そして、親にも守るべき生活があります。教育費を優先するあまり、自分たちの老後資金が不足すれば、将来的には子どもへ負担を掛けることにもなりかねません。そのため、まずは自分たちの老後の生活設計を考え、必要なお金を具体的に把握することが大事です。現実的に自分の家計がどうなるのかをシミュレーションしてみることで、どこかで支援を区切るという選択肢を息子に伝えるきっかけにもなります。

何より、老後の生活設計が立ち行かなくなり、経済的に困るようなこと、介護が必要になり息子への負担が大きくなってしまえば、他ならぬ息子の人生の足を引っ張ってしまうことになるかもしれません。

親子双方が納得したうえで支援の線引きを行うことも、親としての大切な役割ではないでしょうか。

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