専門家に求められる新しい能力
もっとも、AIは税理士にとって極めて強力な支援ツールであることは間違いありません。税法の検索や制度の整理、複数の選択肢の比較などでは、人間よりも短時間で情報を提示できる場面も少なくありません。
しかし、その回答をそのまま採用するのではなく、正しいかどうかを客観的に検証し、依頼者に最適な判断へ導くことこそ、税理士の役割です。もしAIの回答を鵜呑みにして誤った助言を行えば、依頼者に損害を与え、損害賠償問題へ発展する可能性もあります。
AIの登場によって税務実務は飛躍的に便利になりました。しかし、それと同時に、AIを使いこなす知識と判断力が専門家にはこれまで以上に求められる時代になったのです。
「AIがそう回答したから」という言い訳は、税理士をはじめとする専門家には通用しません。AIの活用という点では、米国は日本より一歩先を進んでいます。しかし、その一方で、AIの限界や欠陥を検証し、そのリスクを認識する取り組みも、米国は日本よりさらに先を歩んでいるのかもしれません。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
