ガーデニングとは何か。リゾートとは何か。
リゾートとは、本来「心身を回復させるために立ち返る場所」を意味する。それは単なる観光地ではなく、日常から距離を置き、自分自身を取り戻すための“拠りどころ”である。そしてガーデニングもまた、土に触れ、季節を感じ、時間の流れと向き合うことで、自らの内面を整えていくことにつながる。

ふと気づけば、私のガーデニングは、表面的にはオージープランツやトロピカルプランツを愛でているが、その根底では常に庭に「リゾート」を求めていた。この2つは、本質的に同じ方向を向いていたのである。すなわち、これからのガーデニングのひとつの到達点は、庭の「リゾート化」にあると私は思う。

私が提案したい「リゾートガーデン」とは、単に南国風の植物を並べた庭ではない。イングリッシュ、ドライ、ナチュラル……それらは様式や手法に過ぎない。私が提唱するのは、それらを超えた概念としてのリゾートガーデンだ。
そこに流れる時間、そこで過ごす自分のあり方までを含めた、「自分なりの生き方としての庭」。それは個々の思い出や志向によって、オージーであったり、トロピカルであったり、和風であったりしてもいいはず。
庭に出るということは、植物を愛でる以上に、「自分の時間をどう生きるか」を問い直すこと。私には、メルボルンで体験したあの豊かな時間を思い出し、人生と向き合う場所である。
日本型リゾートガーデンの構築

では、それをどのように具体化していくのか。
まず重要なのは、自分にとっての「リゾートの原風景」を確認すること。私の場合、それは高校生の頃から憧れていたヤシの木や、メルボルンの庭がそれにあたる。
次に、日本の気候の中で無理なく持続できることも忘れてはいけない。
露地植えできる「耐寒性植物」と、鉢で楽しむ「非耐寒性植物」を明確に分ける。この「割り切り」こそが、日本型リゾートガーデンの骨格をつくる。私自身、この割り切りができずに多くの植物を枯らし、失敗を重ねてきた経験がある。
1. 骨格をつくる常緑樹

庭の基盤には、年間を通じて姿を保つ常緑の葉ものを据える。オージープランツの多くは常緑だ。フェニックス・ロベレニー(シンノウヤシ)やストレリチア・レギネ、ニューサイラン、コルディリネといった植物は、空間に強い個性と非日常性をもたらしてくれる。

ブロンズリーフや斑入り葉を選べば、色彩も豊かになる。ただし、ここは日本。四季折々の新緑や紅葉を楽しめる落葉樹を適度に取り入れることで、日本人の感性に馴染む「しっとり感」が生まれる。
2. 動きと彩りの演出
下草にはアガパンサスやグラス類を用いる。風に揺れる動きが加わることで、庭は「鑑賞するもの」から「体感するもの」へと変わる。

その上で、ハイビスカスやプルメリア、ブーゲンビレアといった非耐寒性植物を「鉢」で取り入れ、季節ごとに演出する。ここに意図的な“非日常”を差し込むことで、庭は日常とリゾートの境界を自在に行き来する空間となる。

私の場合、さらにここにオージープランツを重ねる。ディクソニアを象徴的に据え、バンクシアやカンガルーポーを配することで、単なる南国風とは異なる「乾いた光と風の記憶」を織り込んでいく。
こうして生まれる庭は、「日本の現実」と「異国の記憶」が調和した、世界に一つだけの場所となった。
