読経の声が響く、朝の浅草寺本堂へ

続いて向かったのは、浅草寺の本堂です。
夏季の本堂は午前6時に開堂します。私が訪れたときには、朝の読経の声が境内に響いていました。
観光客でにぎわう昼間の浅草寺とは、まったく違う空気。
お経の声を聞きながら静かに手を合わせていると、心の中まで整っていくようです。
浅草寺は、約1400年の歴史を持つ観音霊場。
関東大震災では仲見世が全焼したものの、本堂をはじめとする主要な建物は火災を免れ、多くの人が境内へ避難したと伝えられています。
しかし、1945年3月10日の東京大空襲では本堂が焼失。その後、多くの信徒の協力によって再建が進められ、現在の本堂は1958年に完成しました。
大きな災害や戦災を乗り越え、人々の力によって何度も守られてきた浅草寺。その歴史を知ると、目の前の景色が少し違って見えてきます。
本堂の大提灯に書かれた「志ん橋」の文字
本堂の正面に掛かっている大きな提灯には、「志ん橋」と書かれています。
浅草なのに、なぜ「新橋」?
気になって調べてみると、この大提灯は、東京の新橋花柳界を支える料亭や茶屋、芸者置屋で構成された「東京新橋組合」が奉納したもの。
東京大空襲で焼失した本堂が再建された1958年から、大提灯の奉納が続けられているそうです。
2020年に奉納された大提灯には、料亭8軒、茶屋3軒、芸者46人の名前も記されています。高さ約4.5m、幅約3.5m、重さは約600kgもあるというから驚きです。
何気なく見上げていた提灯にも、浅草と新橋の街の歴史や、人々の思いが込められているのですね。
知れば知るほど、浅草さんぽが楽しくなります。

