実用編|初めてのミニ盆栽。初心者は何から始めればいい?
まずは購入。ミニ盆栽はどこで買える?
ミニ盆栽は、小池盆栽店のような専門店をはじめ、大手園芸店やホームセンターの園芸コーナー、街の園芸店などでも購入できます。お手頃価格で販売されていますが、樹種は少ない印象です。
その点、盆栽専門店は樹種の種類が豊富で、専門店ならではの確かな品質の高さを感じられます。
価格はホームセンターほどリーズナブルではありませんが、5,000円台、6,000円台と、1万円を切る商品も豊富で、初心者でも予算に合わせて選びやすいのが魅力です。

近くに盆栽専門店があるか分からない場合は、「盆栽 販売 東京」「盆栽 販売 大阪」など、お住まいの地域名を入れて検索してみましょう。
意外と身近な場所に盆栽園などの専門店が見つかるかもしれません。
おすすめは、実際にお店へ足を運び、自分の目で樹形や幹の表情、全体の雰囲気を見ながら選ぶこと。
同じ樹種でも、1鉢ごとに個性が異なるのが盆栽の魅力だからです。
もちろん、ネット通販でも購入できます。
現在はフリマアプリでも気軽に盆栽を購入できますが、オンラインで選ぶ場合は、盆栽園や盆栽専門店が運営するECショップが個人的にはおすすめです。
樹種ごとの特徴や管理方法について相談できる場合も多く、購入後の安心感にもつながります。
まず知っておきたい、盆栽の基本
置き場所と日当たり

盆栽は、基本的に屋外で育てる植物です。風や雨、太陽の光といった自然環境の中で管理することで、健康に育ちます。
一方で、ミニ盆栽であれば、若木は基本的に順応性も高いので、数日から1〜2週間ほど室内に飾って楽しむこともできます。
室内では、日中明るく風通しのよい場所で管理しましょう。
さらに、植物育成LEDライトやサーキュレーターを併用して、少しでも屋外の環境に近づけてあげることで、より健全に育ちやすくなります。

写真のライトは、Brimの。

こうして、リビングや玄関、書斎などで季節の表情を楽しんだあとは、再び屋外へ戻し、しっかりと日光や風に当ててあげましょう。
| 1週間屋内で過ごしたらその後2週間は屋外で、2週間屋内で過ごしたら3週間は屋外で、という感じで、屋外での比率を多くしてあげてください。 |
屋外では、日当たりと風通しのよい場所が基本です。
ただ、昨今の夏は「酷暑日
」という新たな基準が設けられるほど猛烈な暑さが続くことも多いため、樹種によって耐暑性が異なるミニ盆栽は、鉢内の過度な温度上昇と葉焼けを避けるためにも、7〜8月はなどを利用して、強烈な日差しを和らげてあげると安心です。
特にモミジなどの落葉樹は、葉焼を起こすと綺麗な紅葉が出ない場合があります。
ミニ盆栽は、購入時に育て方を確認し、それぞれの性質に合った環境で管理するようにしましょう。
水やり

盆栽の管理で最も大切なのが、水やりです。
鉢が小さいミニ盆栽は土の量が限られているため、一般的な鉢植えよりも乾きやすいという特徴があります。
そのため、土の状態を見ながら必要なタイミングで与えるとよいでしょう。
目安は、用土表面が常にびしゃびしゃなのはNGですが、常にうっすらと湿っている状態が理想的。
用土表面が苔に覆われている場合も同様です。
ウエット→セミドライ→ ウエット→セミドライというサイクルを守るのがコツです。 |
水やりをするときは、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えましょう。
1度に少量だけ与えるのではなく、葉、枝、幹も潤し、そして鉢全体にしっかりと水をいき渡らせることが大切です。
日中は仕事などで家を空ける方も多いと思いますが、そんな場合は朝にしっかりと水を与え、帰宅後に土の乾き具合を確認する習慣を付けると安心です。
特に夏の猛暑日に屋外管理を行う場合は、夜間の涼しい時間帯にもう1度水やりが必要になることもあります。

水やりの頻度は、樹種や季節、天候によって大きく変わります。
春や秋は1日1回程度が目安になることもありますが、冬は数日に1回で十分な場合もあります。
「毎日水をあげる」のではなく、「毎日、土の状態を観察する」。
この意識を持つことが、盆栽を元気に育てる秘訣です。
「水やりは控えめに」という管理を当たり前のように行ってきた観葉植物愛好家にとってはここが最も戸惑うところ。
最初は「毎日様子を見るなんて大変そう」と感じるかもしれません。
しかし実際には、土の乾きを見極めながらたっぷりと水を与える、このひと手間が思いのほか楽しく感じられるものです。
楽しくなれば、水やりは「作業」ではなく、樹木と向き合う大切なコミュニケーションの時間になっていきます。
肥料

盆栽も、ほかの植物と同じように成長期には肥料を必要とします。
健康な葉や枝を育て、美しい樹形を維持するためにも、適切なタイミングで養分を補ってあげましょう。
一般的には、新芽が動き始める春から、生育が落ち着く秋頃までが施肥の目安です。
ただし、鉢内が高温になる真夏や、生育が停滞する冬は、根の負担を軽減するため基本的に肥料を控えます。
本格的な盆栽では、昔から「玉肥(たまごえ)」と呼ばれる有機肥料がよく使われています。
一方で、有機肥料は虫やニオイが気になることもあるため、室内でミニ盆栽を楽しむということを前提に考えると、扱いやすい緩効性のタブレット型化成肥料から始めるのもおすすめです。


タブレット肥料はそのまま鉢の縁付近に置いて使用しますが、上の写真のようにAmazonなどで販売しているに入れて使う方法もおすすめ。
水やりの際に肥料が鉢の外へ流れ出るのを防ぎ、適切な位置に留まってゆっくりと溶け出すため、肥料が効果を発揮しやすくなります。
肥料は、多く与えればよいというものではありません。
盆栽は大きく育てることが目的ではなく、美しい樹形を維持しながら長く育てていくものです。
製品に記載されている使用量や頻度を守り、与え過ぎには注意しましょう。
なお、樹種によって肥料を与える時期や量は異なります。
購入時に育て方を確認し、それぞれの性質に合った管理を心掛けることが大切です。
冬の管理
ミニ盆栽は小さな鉢で育てるため、「寒そうだから室内へ」と思いがちです。
しかし、松やモミジ、ケヤキ、真柏など、日本の気候で育つ盆栽は基本的に屋外で冬を過ごします。 むしろ冬の寒さを経験することで休眠し、春の芽吹きへと備える樹木がほとんどです。
ただし、強い寒波や雪、乾いた寒風が続く地域では、軒下など風を避けられる場所へ移動すると安心です。
一方で、熱帯性の樹種(ガジュマルなど)だけは寒さに弱いため、冬は室内の明るい場所で管理しましょう。
その他のお世話
剪定

盆栽の剪定は、植物を健康に育てるためだけの作業ではありません。
混み合った枝を整理して風通しや日当たりをよくすることはもちろん、どの枝を伸ばし、どの枝を切るかを考えながら、自分の理想とする樹形へ育てていく大切な作業です。
観葉植物の剪定が「健康に育てる」ことを目的とするなら、盆栽の剪定は「健康に育てながら、美しい樹形をつくる」ための作業ともいえるでしょう。
下記で写真付きで、筆者が実際に行った剪定作業を紹介しています。
実際の剪定例
▼補足
:実際の剪定例剪定は枝をどこで切るかによって樹形が大きく変わるため、 写真付きで見ると理解しやすくなります。
詳しい手順や写真は、GARDEN STORYオリジナル記事でご覧ください。
剪定の詳しい解説はこちら
植え替え

ミニ盆栽は、鉢が小さいぶん、根が鉢いっぱいに広がりやすいため、定期的な植え替えが欠かせません。
樹種や生育状況にもよりますが、目安として2〜3年おきに植え替えを行うとよいでしょう。
植え替えでは、新しい用土に入れ替えるだけでなく、適宜剪定を行い、伸びた根を整理する「根切り」も行います。
根の健康を保ちながら、限られた鉢の中で美しい樹形を維持していくための大切な作業です。
ちなみに、植え替える鉢は、樹木を大きくしたい場合は一回り大きな鉢に、現状の大きさを維持したい場合は、根だけ整理して元の鉢に戻します。
樹種によって植え替えの時期や方法は異なるため、最初は難しく感じるかもしれません。
詳しい植え替えの手順やポイントは、筆者が実際に行ってみたので、参考にしてみてください。

植え替えの手順
▼補足:
植え替えの手順植え替えは、根の整理や用土の入れ替え、樹の固定など、初心者には少し難易度の高い作業です。
写真付きで見ると理解しやすいため、詳しい手順はGARDEN STORYオリジナル記事でご紹介しています。
植え替えの詳しい手順はこちら
小池盆栽店でご購入された盆栽については、植え替え代行も行っています。(有料にてお預かり)
初心者が失敗しやすいポイント
水切れ

観葉植物を育ててきた方が盆栽を見て驚くことのひとつに、鉢の小ささがあります。
盆栽は、大きく育てるのを目的とはしていないため、鉢を小さくして根の成長も抑制しながら樹形を保っていきます。
鉢が小さいということは土の量も少なく、特に春から夏にかけては想像以上のスピードで乾いていきます。特にミニ盆栽はそれが顕著です。
土が完全に乾いてしまうと、木に大きなダメージを与えてしまうこともあります。このため、前述の水やりのHow toを実践し、とにかく水切れだけは避けましょう。
室内管理だけで育てる
ミニ盆栽は室内に飾って楽しむこともできますが、基本的に盆栽というものは、サイズの大小にかかわらず、屋外で育てるものです。
長期間室内だけで管理すると、日照不足や風通しの悪さから徐々に樹勢が落ちてしまいます。
観葉植物と異なり、植物育成LEDライトを導入したとしても、屋外管理の代わりにはなりません。
育成ライトは植物の生育を補助するうえで非常に有効ですが、盆栽は光だけでなく、風や雨、季節の寒暖差など、自然環境の中で育つことを前提とした植物。
そのため、室内で育成ライトだけに頼った管理を続けると、徐々に樹勢が衰えてしまうことがあります。
「置き場所と日当たり」の項で前述したように、室内鑑賞と屋外管理を上手に繰り返すことが、ミニ盆栽を長く楽しむコツです。
なお、玄関は日照不足になりやすく、風も滞りがちな環境です。
明るく見えても植物にとっては光量が不足していることが多いため、長期間の管理場所としてはおすすめできません。
過保護にしすぎる
植物を大切に思うあまり、必要以上に手を掛けてしまうのも初心者によくある失敗です。
土が十分に湿っているのに何度も水を与えたり、肥料を多く与えすぎると、かえって樹木に負担をかけてしまいます。
ミニ盆栽は、毎日少しずつ様子を観察しながら、必要なタイミングで手を掛けるくらいの距離感がちょうどいい。大事なのは、「今日も元気?」と眺める時間を大切にすることです。
盆栽で、遊んでみない?
盆栽は、最初から完璧を目指す必要はありません。
肩肘を張って「盆栽を始める」と考える必要はなく、まずは観葉植物とは少し違う植物の楽しみ方として、こう考えてみてはいかがでしょう?
そのくらいの気持ちがちょうどよいのではないかと思います。
小池さんは語る、盆栽は「人生をともにできる趣味」
四季を感じる植物

「盆栽は管理する植物ではなく、自然と付き合う植物なんです」
そう話す小池さん。
春には芽吹き、夏には葉を茂らせ、秋には紅葉し、冬には葉を落として休眠する。
1鉢の中で四季が巡る姿を眺めていると、忙しい毎日の中でも季節の移ろいを身近に感じられるといいます。
実際に奥様も朝の水やりを行う際に、盆栽を見てはその癒しの中に、季節の移ろいを感じているそうです。

歴史を紡ぐ植物
また、小池さんは、盆栽の魅力をひと言で「時間」だといいます。
今日明日で完成するものではなく、数年後の姿を思い描きながら少しずつ手を掛けていく。
その時間そのものが、1鉢の価値になっていくのです。
ミニ盆栽でも樹齢10〜20年のものは珍しくなく、大きな盆栽になれば樹齢50年、100年を超えるものもあります。

しかし、そんな風格ある盆栽も、最初は誰かが育て始めた小さな1鉢、つまりミニ盆栽でした。
今、自分が手を掛けているミニ盆栽も、何十年という歳月を経て、子へ、孫へと受け継がれていくかもしれません。
もしかしたら、孫が今の自分と同じ年齢になった頃にも、変わらず美しい樹姿(じゅし)を見せているかもしれない。
「盆栽は歴史を紡ぐ植物」
そんな小池さんの言葉がとても印象的でした。

ウエット→セミドライ→
ウエット→セミドライというサイクルを守るのがコツです。