【COLUMN】南青山で、カフェが盆栽店を始めた理由
ここまで、盆栽の魅力についてお話を伺ってきた小池さん。
実は「小池盆栽店」は、東京・南青山にある、小池さんが営むカフェ「」の軒先にあります。
コーヒーを片手に盆栽を眺める
。そんな少し不思議で心地よい空間には、小池さんならではの植物との向き合い方や人生観が詰まっていました。
では、なぜカフェの店主が盆栽店を始めたのでしょうか。
その背景には、一人の植物好きが歩んできた、少し意外なストーリーがありました。

little pool coffee誕生秘話
カフェの店主が盆栽店を、とはいいますが、実は小池さんの本業は美容師!
同じ場所でヘアサロン「CHERISH」を営み、20年という長き時間をお客様と向き合ってきました。
現在もサロンは盆栽店の奥で営業していますが、紹介制のみで営業を続けています。
当時、美容院とカフェの間には壁がなく、ワンフロアすべてがヘアサロンでした。
しかし、スタッフが独立して巣立っていったことをきっかけに、今から10年前に、ふと思い立った小池さんは「壁で仕切ってさ、空いたフロアでカフェでもやってみようか?」と、奥様に相談したといいます。
専業主婦だった奥様は驚きながらも、子育てでひとつの区切りがあったことから、その提案を受け入れ、little pool coffeeが誕生しました。
当初はコーヒーを中心としたカフェとして営業していましたが、その2年後に提供を始めた『ふわとろ”飲める”オムライス』が大きな話題に。
現在では全国各地から多くのお客様が訪れるオムライス屋さんとして知られています。
その後、趣味として始めた盆栽に小池さんが夢中になり、その魅力をもっと多くの人に伝えたいという想いから、カフェの軒先で盆栽を販売するようになります。
現在は、小池さんが盆栽店を、奥様が little pool coffee を中心に切り盛りしながら、それぞれの「好き」を形にした空間をつくり続けています。
コーヒーの香りに包まれながら盆栽を眺める・・・。
そんな little pool coffee ならではの心地よい時間は、ご夫婦が歩んできた自然な人生の流れの中から生まれたものなのです。
盆栽への覚醒と、盆栽家との交流

意外なことに、実は小池さん自身もまだ盆栽の道を歩み始めたばかり。
しかしその興味は突然生まれたわけではありません。
little pool coffeeの目の前には、以前、園芸店がありました。
その店をきっかけに植物へ興味を持った小池さんは、当時はビカクシダをはじめとするビザールプランツに夢中だったといいます。
「珍しい形の植物が好きなんですよ」
そんな好奇心は、やがて自然と盆栽へ向かいました。
「理由はないんですけど、気づいてみたら盆栽が欲しくてたまらなくなって(笑)」
そうして上野まで足を運び、最初の1鉢となる黒松(下の写真)を購入。
しかし、自宅へ持ち帰ると、「これ、どうすりゃいいんだ!?」と笑いながら眺める日が続いたそうです。
ところが、育て方を調べ、実際に手を動かしていくうちに、「盆栽は保守的で難しいもの」という、それまで抱いていた固定観念が少しずつ覆されていきます。
持ち前の行動力で盆栽園へ足を運ぶようになり、現在の仕入れ先である深谷根岸園をはじめ、多くの盆栽家や職人たちと交流する機会も増えました。
「皆さん、本当に穏やかな人ばかりなんです」
年齢や立場に関係なく、植物について語り合い、技術を惜しみなく教えてくれる。その温かな人柄に触れるたび、小池さんは盆栽という文化の奥深さを実感しているといいます。
「若い職人さんたちの情熱には、いつも刺激をもらっています」
1鉢の盆栽との出会いは、植物だけでなく、新しい人との出会いも運んできたのでした。
【奥様に聞きました】そんなご主人の盆栽愛、奥様にはどう映っていますか?
「観葉植物じゃ物足りなかったんじゃないですか? 美容師だから、手を掛けるのが好きなんですよ(笑)」
ちなみに奥様は、サボテンや多肉植物が大好きなのだそう。

なぜカフェの軒先で盆栽を売るのか

「どうしてカフェの軒先で盆栽を売ろうと思ったんですか?」
そう尋ねると、小池さんは笑いながら答えました。
「やりたいと思ったから始めた。それだけなんです」
美容師として働き、カフェを始め、植物に出会い、そして盆栽に夢中になる。
そのひとつひとつが、壮大な事業計画に基づいたものではなく、ただ、そのときどきの好奇心に素直に従ってきた結果、今の little pool coffee と小池盆栽店が生まれました。
この場所に流れる心地よい空気も、きっと小池さんのそんな生き方から生まれたものなのでしょう。
小池さんが描く、盆栽カフェという未来
「面白くないことは、最初からやろうと思わないんです」
美容室からカフェへ。そして、盆栽へ。
その根底にあるのはいつも、「面白そう」という好奇心でした。
カフェの運営が軌道に乗った今、小池さんが思い描いているのは、盆栽という日本が誇る園芸文化をもっと身近なものにし、その魅力を広く伝えていくことです。
現在、盆栽は店先を中心に販売していますが、将来的にはカフェの店内にも展示・販売スペースを設け、コーヒーと盆栽がより自然に溶け合う空間をつくりたいといいます。
「盆栽カフェ」という形になるのか、それともまったく新しいスタイルになるのか。
その答えは、まだ小池さん自身にも分かりません。
「流れと、自分のアンテナが向く方向へ」
そう笑う小池さんと奥様なら、きっとこれからも私たちの想像を超える「面白いこと」を始めてくれるのでしょう。
小池ご夫妻より、GARDEN STORY読者の皆様へのメッセージ
まとめ|観葉植物のその先に、盆栽という世界がある
観葉植物好きが盆栽を始めるのは、決して趣味を方向転換するからではありません。
植物が好きだから、その延長線上で自然と盆栽に出会う。
小池さん自身もそうだったように、「面白そう」という好奇心が、新しい世界への入口になるのです。
盆栽は、葉だけでなく、幹や枝、根までも育てながら、季節の移ろいや年月が生み出す美しさを楽しむ植物です。
難しそうに見えても、最初は「好きな1鉢」を迎えることから始めれば十分。
ミニ盆栽なら、観葉植物のように暮らしへ取り入れながら、その奥深い魅力に触れることができます。
そして、その1鉢の向こうには、日本人が古くから大切にしてきた「自然を愛でる文化」が広がっています。
観葉植物が好きなら、盆栽もきっと好きになる。
まずは気負わず、1鉢と遊ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。
【盆栽は、どんなところで価格が決まるの?】
「盆栽は高価なもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
もちろん、何十年、何百年と育てられた名品には高い価値が付きます。
しかし、初心者向けの小ぶりの盆栽(ミニ盆栽)であれば、数千円から購入できるものも少なくありません。
では、そもそも盆栽の価格は何によって決まるのでしょうか。
小池さんによると、盆栽の価値は樹齢だけで決まるものではありません。
幹の太さや力強さ、自然な樹形、根張り、枝ぶり、そして鉢との調和など、さまざまな要素を総合的に評価して価格が決まります。そのため、同じ樹種でも価格が大きく異なることは珍しくありません。
例えば、最後に紹介した「五葉松ハート」は、幹をハート型に仕立てるため、熟練の職人が何年もかけて丁寧に作り上げた一鉢。
ミニ盆栽でも、樹種や施された技術次第では数万円の価値を持つものもあります。
試しに、ホームセンターで980円!で販売している盆栽を購入してきましたので、剪定してみましょう。
樹種は「八つ房下野(やつふさしもつけ)」というバラ科シモツケ属の落葉低木。
5〜7月に小さく密集した白〜ピンクの花を咲かせます。
購入した木は小枝が伸び放題なので、剪定して内部の通気を確保し、新芽が出やすいようにしつつ、将来の樹形を考えて枝切りをしたいと思います。
とりあえずは、飛び出した枝をカットします。
傷んだ葉は積極的にカットしますが、剪定それ自体をあまり大胆に行うと、樹勢が弱まるらしいので、ほどほどにしておきました。
ただし、樹勢が弱まるとはいえ、剪定(この場合は厳密には「葉刈り」という)を行うことそれ自体が刺激となって、新芽を促すことにつながるので、基本的にはポジティブな行為ではあるのです。
しかし、なにぶん筆者も超初心者なので、刈り込みすぎるとちょっと怖いかな・・・。
根の一部が露出しているので、将来的にそちらの方向に枝葉を充実させたいという望みを託し、こんな形に。
どうです、けっこう変わるものでしょ?
先ほど「剪定」のところで実際に剪定を行ったものを素焼きの盆栽用浅鉢に植え替えてみたいと思います。
購入したこの「八つ房下野」のコンディションが植え替え適期なのかどうかは、根を上げてみなければ分かりませんが、今回はあくまで試してみるということで。
STEP1 植え替えに必要なもの
左下から時計回りに、アルミワイヤー(直径1.5mm)、長さ7cm程度にカットしたアルミワイヤー(直径2mm)、鉢底ネット、植え替え用の浅鉢、植え替える樹木、盆栽用土、軽石、スコップ、根ほぐし用に使うフォーク、用土の隙間を埋めるための割り箸、園芸用鋏、ラジオペンチ
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STEP2 鉢底ネットにワイヤーをかける
長さ7cm程度にカットしたアルミワイヤーを、ラジオペンチでコの字に曲げ、ネットを鉢に固定します。
ネットのちょうどバランスのよい場所に差し込み、裏側(底側)でハの字に開き固定します。
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STEP3 鉢に樹木固定用のワイヤーを通す
次に、細め(1.5mm)のワイヤーを、盆栽用浅鉢に付いている「ワイヤー用穴」に通します。
先ほどみたく、コの字にして外側から通します。
※ワイヤー用穴が無い場合は、鉢底穴からネットごしに通します。
こんな感じです。
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STEP4 根を整理する
鉢底穴を押して鉢から樹木を外します。
うまく持ち上がらない場合は、バターナイフなどを使い、鉢と用土を分離すればスムースに外れます。
根がギュウギュウに過密状態であれば植え替え適期。その場合、用意したフォークを使って根をほぐします。
しかし持ち上げたこの根の状態だと植え替え適期ではありません。
ただ、今回はお試し植え替えのためこのまま続行し、根に負担をかけないように手でやさしく土を落とし、根を整理します。
根の整理は、剪定で枝葉を刈り込んだ分と同じ量の根も切る、というのが定番。
しかしこの株の根は一見してまだ未熟で、大量に切ると枯れてしまう恐れがあるため、上の写真の赤枠で囲った、飛び出した根だけをカットして整理します。
根切りは、樹木のコンディションを考慮しながら、このように慎重に行ったほうがよいです。
スッキリしました。
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STEP5 軽石を入れ、下地を整える
水捌けをよくするために、軽石を下地として入れます。
この場合、鉢は4号鉢(直径12cm)、軽石の粒の大きさは5〜6mmのものを選びました。
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STEP6 樹木を置き、針金で固定する
将来の成長をイメージしながら、樹木を配置します。
一般的な植物では、センターに垂直に配置しますが、盆栽は自由な発想で配置を考えてOK。
今回はちょっと斜めに置き、露出している根の方向に枝を成長させていきたいので、まずは片方にだけ用土を盛ります。
こんな感じに斜めに置きます。
そのままワイヤーで固定します。
そう、アンバランスに配置した樹木を鉢にしっかりと固定するのがこのワイヤーの役割なのです。
ワイヤーによる根の固定は、ちょっとタイトかな、と思うくらいキツく縛り、グラグラしないように固定するのがポイントです。
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STEP7 用土を入れる
まんべんなく用土を入れたら、割り箸などで鉢の縁を突き、隙間を埋めていきます。
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STEP8 水やり
水は、鉢底から勢いよく流れ出るくらいたっぷりと与えます。
最初は茶色い水が出ますが、この水がある程度透明になるまで与え続けます。
葉水も行いましょう。
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これで完了
どうです、元の状態より盆栽らしくなったでしょ?
左のほうに枝が伸びていくように今後の剪定で調整し、この飛び出した根の周囲に苔でも生えれば、さらにフォトジェニックなミニ盆栽になることでしょう。
そんなご主人の盆栽愛、奥様にはどう映っていますか?
「観葉植物じゃ物足りなかったんじゃないですか? 美容師だから、手を掛けるのが好きなんですよ(笑)」
ちなみに奥様は、サボテンや多肉植物が大好きなのだそう。
記事協力・監修

小池盆栽店
東京都港区南青山3-8-26
パートナーズ表参道1F
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little pool coffee
パートナーズ表参道1F
【オムライス】11:00ー18:00
【クレープ】11:00-18:00
【coffee stand】10:00ー18:00
定休日 なし
Credit 文&写真(クレジット記載以外) / ガーデンストーリー編集部
ガーデニング、家庭菜園、インドアグリーンなど、花・緑・庭・エクステリアに関する幅広いテーマにまつわる情報を配信している「ガーデンストーリー」編集部です。旬の植物情報やイベントの紹介、お庭の取材、植物の楽しみ方などをガーデニング知識に精通する専門家の監修のもと配信しています。
