上野アメ横の“一斉摘発”から3ヵ月も…警告に従わない店舗が後を絶たず「路上営業がなくならない」理由【現地レポート】

上野アメ横の“一斉摘発”から3ヵ月も…警告に従わない店舗が後を絶たず「路上営業がなくならない」理由【現地レポート】

◆ヤミ市時代から受け継がれる上野の商文化

背景にあるのは、やはりアメ横の出自が戦後のヤミ市に由来しており、今なお往時の混沌とした雰囲気を、どことなく商店街内に漂わせていることだろう。「他ではダメでも、アメ横だったら許される」というような空気感が、店舗と客との間で今なお共有されているのかも知れない(もちろん法律的には、アメ横でもダメなのだが……)。うがった見方をすれば、アメ横では利用客と店舗側が一種の「共犯関係」になっているとも言える。

そもそも飲食店の椅子・テーブルに限らず、看板や商品棚を路上まで張り出している店舗は、アメ横ではごく一般的な風景である。さほど広くない一帯に狭小店舗が密集しているがゆえに、座席や商品陳列を店内だけに収めてしまうと、どうしても外部ディスプレイの面で支障が出てしまうのだ。

アメ横
飲食店の座席に限らず、商品も路上に溢れ出すのがアメ横
「確かに上野署のいうことは分かりますが、しかし、警察に決められた線通りにやっていると、商品が死んじゃうんですよ。通路に出すことで商品に活気が出るし、店と商品に魅力が出るんです。行儀よくやっていると、店の雰囲気だけでなく、街の雰囲気までおかしくなっちゃうんです」
(『ヤングでよみがえる アメ横商店街 超繁盛の秘密』より抜粋)

「道路と店内に商品があふれ、販売員も道路に出て、通行客から肩をぶつけられたり足を踏んづけられたりしながら商売をする、あの混雑とエネルギーが充満するアジア的混とんとでもいうべき景観こそが、アメ横の魅力だからである」
(同上)
 
アメ横
本格的に客が増える前にアメ横をあとにした
上記の文章は90年代半ばに書かれたものだが、このような清濁あわせた店舗のエネルギッシュさが、30年以上経った現在もアメ横に客を引き寄せている。だが、そうした旧来の商文化が、現代の法規やマナーと衝突していることも否めない。安全の観点から路上を不法占拠する座席に対処するのは必要だが、それでアメ横自体の活力が削がれてしまうことも避けたいところだ。

<TEXT/デヤブロウ>

【参考書籍 ※敬称略】
島田隆司『ヤングでよみがえる アメ横商店街 超繁盛の秘密』実業之日本社(1994年)
本橋信宏『上野アンダーグラウンド』新潮社(2024年)

【参照ニュースサイト】
歓楽街を変貌させた「外国人経営者たち」東京都・上野・湯島・御徒町 混沌のディープタウンを歩く(FRIDAY DIGITAL)
【現場ルポ】「ひさしの下ならセーフ」? 一斉摘発後も商魂たくましすぎる上野アメ横 路上営業の実態(〃)
アメ横周辺で「路上営業の一斉摘発」歩行者の通行妨げる飲食店も 半年で1500件近く指導や警告も改善せず(TBS NEWS DIG)
「トラックで机も椅子も全部持って行った」東京・アメ横でついに一斉摘発…“違法路上営業”摘発後、現地で見た激変の光景(集英社オンライン)
“アメ横”の路上はみ出し営業 取り締まり後も道ふさぐ机と椅子 巡回中は“引っ込め”やり過ごす 改善した店「不平等」訴え(FNNプライムオンライン)

―[東京“不法占拠”をめぐる旅]―

【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
配信元: 日刊SPA!

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